エンジニアらしき人のひとりごと

100人中100人は興味を示さなくても、100万人居たら1人くらいは面白いと思ってくれそうな、重箱の隅をほじくってみるブログ。

マイコン博物館の拡張移転準備中の様子

先日、拡張移設のためのクラウドファンディングで大成功を収めた、マイコン博物館。

現在(2024年2月12日時点)では休館中で、東青梅から青梅に移設拡張の準備中です。
でその準備のお手伝いが出来たら…と思って行ってきましたので、準備中のレアな状態を撮ってきました。

なお現在はまだ準備中ですので、オープン時はもっときれいになると思います。

まずは、マイコン博物館の最寄、青梅駅から。

青梅駅

今度の最寄駅は、JR青梅線青梅駅に。以前の東青梅から1駅先になります。
青梅駅は、先週降った雪がまだ残ってました。

青梅は、少し寒い

歩いて2分程度、信号機もなくするっと行けます。

マイコン博物館の建物の通用口

現在は、建物の通用口から入ります。
マイコン博物館のオープンは4月を計画しているとのことですが、その時点でも通用口からの入館になる予定だそうです。
(1階の正面から入館できるのは、マイコン博物館オープン後に準備を始める、「夢の図書館」のオープンからになるそうで)

建物の正面は、こんな感じです。

マイコン博物館が入居する「青梅プラザ」

この建物、以前は銀行の支店だったものです。
1階:「夢の図書館」とコワーキングスペースと、銀行ATM
2階:「マイコン博物館(主展示室・特別展示室)」と工作室とテレワークスペース
3階:「模型とラジオの博物館」と、他のテナント
という構成になります。

まずは、2階から。

準備中のマイコン博物館①
準備中のマイコン博物館②
準備中のマイコン博物館③

現時点では、2階は展示棚とソファ等が並んでいます。内装工事はだいたい完了しているようですね。
事務室という雰囲気がやわらぐようにと、天井にシーリングファンが付いています。カーペットも新たに敷いたもので照明も明るいので、ここが元銀行だったのか、という感じはしなかったです。
まだ展示棚にはほとんど展示物を置いてない状態で、仮置きしてみて様子を見ているところ、とのことでした。

東青梅時代と比べて棚がかなり増えましたので、以前は展示できなかったたくさんの収蔵品が、これでお目見えできそうです。すごく楽しみです。
ただこれでも、まだ収蔵品を展示できるわけではなさそうとのことで(!)。青梅あたりでさらに広い物件があればさらに移転もありえるかも?というほどの寄贈品の数だそうです。

で、以前は展示できなかったけど今回展示できるようになるものとして、家庭用ゲーム機(コンシューマーゲーム機)が計画されてます。

家庭用ゲーム機の展示コーナー(仮)

まだ開梱作業が始まってないので、まだまだ増えるんだと思います。

動くゲーム機であれば、ここで遊べるようにされるとのことです。楽しみですね~。

部屋の中央には、ソファ・テーブルと、伝説のゲームマシン「インベーダー」があります。このインベーダー、なんと100円を入れると動きます。

中央に鎮座する「インベーダー」
「インベーダー」、ちゃんと動いてる!

この建物は元銀行なので、お客さんが殺到して100円玉であふれかえっても床が抜けることはなさそう。

2階のマイコン博物館にも、「夢の図書館」の一部の雑誌が置かれる予定です。

2階の本棚(取り付け中)

地震が来ても本棚が倒れて怪我をしないように、本棚は壁とがっちり固定してました。

工作室、広くなりました。快適です。

工作室を、展示室から見たところ

特別展示室

元金庫の、特別展示室

ここは金庫だったところで、分厚い扉があります。

でその金庫の中が、特別展示室になって、より歴史的な記念碑的なマシンが展示されるそうです。まだ物置状態ですが。

天井の照明が、ちょっと特別感あります

テレワーク室

テレワーク室

いい椅子が使用されてます。
東青梅のときも、テレワークで利用される方が結構おられたということで、より本格的なテレワーク室になりました。個室とかブースとかではないですが。

クラウドファンディングの成功を受けて、準備は着々と進んでいるようです。
楽しみですね!

階段を上って3階は「模型とラジオの博物館」になります。

「模型とラジオの博物館」の模型室
飛行機の模型

飛行機や船の模型が、棚や天井に展示されてます。
黄色い飛行機はとある方が中学生時代に作られたもので、その方はその後日本の航空機産業(ビジネスが続いているメーカー)にも尽力されてるとのこと。
子供の時の体験(成功・失敗にかかわらず)ってやはり重要だなと感じました。

完成品だけでなく、作製中のもの、そして箱に入ったままの模型キットも。

箱に入った状態の模型キットたち

模型キットの箱が棚の上のほうに積まれた状態になってますが、これは模型店をイメージされたとのこと。懐かしいなぁ~。

ちなみにこの時代(どの時代?)のキットは、プラモデルとは違って、材料と図面があるだけ、というものです。

船の模型キットの図面①
船の模型キットの図面②

色は付いてないし、曲げてもいないし、切られてもいない。つまりほとんどを、自分で考えて、自分で手を動かして、組み立てるというもの。これをチャレンジしようとし当時の子供たちはすごいな…、気合が違う。

んで、この部屋は内装が以前の銀行時代そのままで、壁が防音仕様になってます。館長曰く、かつては電話交換機室として使用していたものだろう、とのこと。

模型室の隣が、無線機室です。

「模型とラジオの博物館」の無線機室①
「模型とラジオの博物館」の無線機室②

まぁ、まだ棚が並んでるだけですね。

今度は階段を下りて、1階へ。
1階は「夢の図書館」となるところですが…

収蔵品の仮置き場になってる状態の1階①
収蔵品の仮置き場になってる状態の1階②
収蔵品の仮置き場になってる状態の1階③

収蔵品がすごい量。
夢の図書館のオープンは、まだまだ先ですね。マイコン博物館の準備を優先されてるのがよく分かります。

なお現在はまだ準備中につき、オープン時の様子とは大きく異なる(はず)ので、あくまでも準備中の様子の記録ということで。

たくさんの方がクラウドファンディングに賛同されたので、棚や内装が整備されてますね!
たくさんの棚が、これからのたくさんの新たな展示を予感させてくれて、オープンがとても楽しみです。

周辺情報

駐車場

駐車場は、建物の裏手(通用口側)にコインパーキングがあります。2024年2月時点では上限900円でした。コインパーキングは青梅駅前にもありますので、そちらを利用するのもありかも。

駐車場はコインパーキング(上限900円)

ちなみに2024年2月時点では、建物正面のすぐにあるコインパーキングは上限が1,100円でした。
料金は随時変更されると思いますので、相場感のご参考までに。

ランチ情報

マイコン博物館のすぐ近くに、「青梅食堂」というお店があります。暖簾もかかってるので、営業中だとすぐわかります。

すぐ近くにある青梅食堂

で、その外観からは想像できないようなメニューでして。

意外な品ぞろえの、青梅食堂のメニュー
東京しゃもカレー

うまかったです。
ちなみにナンはお代わり無料ではありません(ナン単品を注文することになります)。でも1枚でかなりおなか一杯になると思います。

まだ食べてないのですが、ほかにもいろいろお店があって、
うどん屋さんがあったり(行列できてました)、

近くにある「幸太郎うどん」

クラフトビールが飲めるお店にランチメニューがあったり、

これも近くにある「青梅麦酒」のランチメニュー

青梅駅を出てすぐ左手(マイコン博物館と逆方向)にある、「まちの駅青梅」にも、面白いメニューがありました。

青梅駅を出てすぐ左隣にある「まちの駅青梅」の飲食メニュー

「まちの駅青梅」では、地元のいろんなものが買えそうです。注意点としては、「マイコン博物館の帰りに寄ってみよう」としてたら寄るのを忘れて電車に乗っちゃう、ということあります(実体験)ので、青梅駅に降りたら最初に寄ってってもいいかもです。

「まちの駅青梅」の入口

あと町のところどころに、レトロ看板をモチーフに猫風にアレンジした看板がありました。

名画をモチーフに猫風にアレンジした看板
お買い物

「まちの駅青梅」で買う以外にも、
駅を出て右手に進んでマイコン博物館に行く途中に、コンビニ「セブンイレブン」があります。ここで飲み物などを買っていくのも、いいと思います。

宿泊

遠方から来られる方で宿泊される際は、青梅駅周辺にはなさそうなので、おそらくは東青梅などになるのかな、という感じでした。


以上、マイコン博物館の準備中の状況でした。何かのご参考になれば幸いです。

熱中症の予防には、湿度にも気をつけて!

夏到来。
夏と言えば、熱中症

熱中症は、屋外での活動時だけでなく家の中に居る時でも注意が必要、ということはここ数年言われるようになりましたね。
水分・塩分補給。そしてエアコン(冷房)の活用。

でもご存知ですか?
室温(温度)だけに注意が行きがちですが、実は湿度も要注意なんです、ということを。

お伝えしたいことは全部この資料に書いてあるんです。環境省にある資料です。
https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/ic_rma/2301/mat05_3.pdf

湿度も重要だということを、上記資料の要点をかいつまんで書いてみましょう。

熱中症の予防に便利な目安があるんです

WBGT値という、目安があります。
暑さ指数とも呼ばれていて、ざっくり説明すると、熱による体へのストレスがどの程度なのかを表したものです。
温度、湿度、風速、地面や壁などからの輻射熱、などなどの要素を基に算出した値です。

WBGT値は、数字が大きいとダメ(より体にストレスがかかる)です。危ない目安は、こんな感じだと言われています。

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WBGTの基準値

※本記事の図表は、以下の資料から引用したものです。
 出典:https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/ic_rma/2301/mat05_3.pdf

ただし、水分をちゃんと摂ってないとか、寝てないとか、体力が無いとか、体調が悪いとかだと、危ない目安はもっと下がるでしょう。

それを踏まえて、ざっくりとこんな分類です。
 ~25未満:注意
 25以上~28未満:警戒
 28以上~31未満:厳重警戒
 31以上:危険

WBGT値のイメージ(室内)

室内という前提で、室温・湿度とWBGT値との関係を見てみましょう。

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WBGTと室温・湿度との関係

ちなみに、温度の単位は「℃」ですが、WBGT値の単位も「℃」と紛らわしいので、注意が必要です。

あと、服装によって以下の値を足します。

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衣類の組み合わせによるWBGTの加算値

ここで重要なのが、

同じ室温でも湿度によっては危険な場合もある

ということです。

ということは

ためしに、先ほどの表で、室温27度の場合のWBGT値を見てみましょう。

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WBGT値と室温・湿度との関係

湿度85%だと「28 / 厳重警戒」になりますし、
湿度55%だと「24 / 注意」に下がります。

室温だけを見て「27度だから安心」と思うのは、実は危ない んですね。

この表から、
湿度にも気をつけたほうがよい、
ということがイメージできるのではないかと思います。

WBGT値の測定器を使おう

温度だけではなく湿度も気をつけましょう!
…とはいうものの、2つの値とあの表を気にするのも大変ですよね。

なので、WBGT値が分かる測定器を使いましょう。
室内専用ですが、例えばこういうものがあります。

WBGT値が指定した数値になったらブザーを鳴らすということも可能です。

ただし直射日光や輻射熱の影響が大きい屋外では、気温と湿度だけでは判断できないので、計測用の黒い球が付いたものを使いましょう。

この値を参考にしながら安全な環境を作っていくことで、熱中症の予防につなげることができます。

もちろん、
水分補給・塩分補給も忘れずに!

エアコンと湿度の関係

ここからは、私の解釈です。

一概に言えないかもしれませんが、エアコンで室温を下げれば下げるほど、原理的には部屋の湿度は下がります。
空気を冷たくする際にエアコン内部で発生した水滴が、室外機から屋外に排出されるからです。

エアコンで27度に設定すると、
外の気温が高い(暑い)ときは、室温を下げようとエアコンが頑張るので、その分部屋の湿度も下がります。

しかし外の気温がそんなに高くないときは、
エアコンはたいして頑張らなくても27度になるので、部屋の湿度はさほど下がらないことになります。

外気温や天候によっては、エアコンの設定温度にかかわらず部屋の湿度は高いまま(=WBGT値が高くなる)、ということは十分起こります。

なのでWBGT値を意識することは、熱中症の予防に役立つと思います。

ただ「室温33度で湿度20%」という環境と「室温25度で室温70%」の環境は、
どちらもWBGT値が「24」ですが、二つの環境はと同じくらい快適か…?というと、
私の感覚ではそう思えないので、WBGTの考え方はあくまでも参考に。
私としては

  • まずは温度を下げる
  • そして湿度を下げることにも気をつける

の2つがポイントだと思います。

冷房だけでWBGT値下げようとすると、寒すぎる?

エアコンの除湿運転を使って湿度を下げるのもアリですね。
エアコンの除湿は、冷房と同じ原理で湿度を下げるので、室温が下がりがちです。
除湿運転でも室温が下がってイヤだという場合は、エアコンにほかの除湿モードがあればそれを試してみましょう。
再熱除湿機能がエアコンにあれば、室温を保ったまま湿度を下げることができます。

もしくは、エアコンだけでなく除湿器も使うことも有効でしょう。
除湿器には大きく「室温が下がる除湿器」「室温が上がる除湿器」の2タイプがあります。
動作させたときに除湿器からあたたかい風が出てたら、それは「室温が上がる除湿器」です。
私はその「室温が高くなる除湿器」を持っているので、
それで湿度を下げつつ、エアコンで温度も下げる、という合わせ技を使ったりもしてます。

私の水分補給方法

私は、室内にいる場合は…

  • おいしい緑茶を飲む(ポカリよりも大量に飲みやすい)
  • ポカリスエットを飲む
  • ポカリもお茶も飲めない…というときは、意外と味噌汁がイケる

という感じです。

何かの参考になれば幸いです。
みなさまが無事で夏を過ごせますように。

PHSの音とVoLTEの音を比べてみた②

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はじめに

PHS(Personal Handy-phone System)という方式の携帯電話サービスが、2021年1月末に、終了しました。
PHSのメリットは「高音質」「(当時としては)高速通信」「低消費電力」「低コスト」など、いろいろありました。

ということで、そのPHSの音と、現在の最新技術であるVoLTE・VoLTE(HD+)の音を、比べてみました。
前回の続きですので、まだご覧になってない方は、①からどうぞ。
tokieng.hatenablog.com

まず

楽器の音で比べてみました。
3G編と同じく、オルゴールとチェロです。

比べた動画は、こちら。

PHSとVoLTEスマホの音質比較 ②楽器の音編 - ニコニコ動画

今回も、ヘッドフォン推奨です。(音量に気を付けてください)

音声データは以下のものを利用させていただきました。

以上終了。


なのですが、ここからも、「音」の知識ゼロな私による、個人の感想が並びますw

オルゴール

PHSはともかく、VoLTE、VoLTE(HD+)ともに、ちゃんと聴けます。
あえて言えば、VoLTEの場合は「ときどき、低音が延びてない」くらい。
VoLTE(HD+)は、音源と比べても違和感ない気がします。
すごいなー。VoLTEがんばったなー。

あんまり語ることないので、グラフを貼って、次に行きますw

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オルゴール

チェロ

3Gのときは、ボロボロでした。
で、VoLTEはというと…。

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チェロ

いいですね。
VoLTEもVoLTE(HD+)も、若干PHSよりは機械的な感じがしますが、頑張ってます。
音源の音は、ほとんど含まれているような気がします。

ここまでくると、「心地よさ」がどっちが上か、という聴き方になるような気がしてきます。

個人的には、ちょっと意外でした。
①の時は、「人の声」以外を消しているような印象がありました。3Gではチェロの音も消えていましたから。

次に

1曲聴いていましょう。「フニクリ・フニクラ」。

PHSとVoLTEスマホの音質比較 ③音楽の音編 - ニコニコ動画

VoLTEは、最初の数秒間はよかったのですが、そのあとはちょっと違和感ありますね。音が詰まってる感じ。伸びが無い。
やはり騒音を消すような処理が働いてしまった感じ。

VoLTE(HD+)は、最初は「おぉ!!」と思ったのですが…。
数秒経つと、ちょっと残念な感じです。足りない。そして、やや人工的な印象です。

たしかに高い音が出ていますが、「心地よさ」の観点から行くと、PHSのほうがましかなぁという感じがしました。

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音楽(フニクリフニクラ)

まとめると

VoLTEとVoLTE(HD+)は、場合によっては「聴ける」。元の音はかなり残っているけど、少し欠けてます。
そして「機械的」「人工的」な音である感じがして、「心地よさ」の観点では、私はPHSのほうが聴きやすいかなと感じました。

でも正直言って、驚きました。
VoLTEとVoLTE(HD+)は、「人の声」に特化したものだと思ったので、これほどまでに「楽器の音」を伝えることができるのか、と。

すごいなぁ。

VoLTE(HD+)の音質で話せる機会が増えると、もっと印象が変わるのでしょうけどね。

2021年2月の時点では、まだまだ3G回線で通話するケースが多いですし、二つ折りの4GケータイがVoLTEまでしか対応していない(HD+は非対応)ということもあって、まだまだVoLTE(HD+)の真価が発揮できてないなぁ、惜しいなぁ。というのが私の感想です。

PHSの音とVoLTEの音を比べてみた①

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はじめに

PHS(Personal Handy-phone System)方式の、携帯電話サービスが、かつて(2021年1月31日まで)存在しました。
これ、通話時の音が結構良かったんです。

PHSの登場は1995年。平成7年。

1995年というと…

携帯電話の世界でいえば、
スマホも、i-modeEZwebも、FOMAcdmaOneも登場する前で、
携帯電話会社としてのauが誕生する前(KDDとDDIが合併する前)だし、
ソフトバンクモバイルボーダフォンJ-PHONEが登場する前だし。

Wi-Fiも無いし、家庭にインターネット回線なんてほとんど無かったし、
そもそもパソコンが無い家が多かったくらいだし。
Googleも無かったし、Yahoo!アメリカで誕生したばっかりで日本への上陸前だったし。

ゲーム機の世界でいえば、
3DOセガサターンプレイステーションが登場した頃(1994年末)で、
任天堂の当時の最上位機種は「スーパーファミコン」だったし、
ゲームボーイも白黒画面しか無かった頃だし、

テレビはほとんどブラウン管で、録画機器はVHSビデオデッキだったし。

…と、そんな時代に登場した通信技術を提供するサービスが、25年間も存在し続けたんですね。

そんなPHSの特長として、当時の他の携帯電話(2G(PDC), 3G(W-CDMA, cdmaOne))と比べて、「音が良い」「高音質」ということが挙げられます。

そこで、
PHSと、最新の通話技術である VoLTE との音を比較してみました

ちなみにPHSと3G(W-CDMA)との比較も行っていて、別記事にまとめていますので、そちらもご覧くださいませ。

PHSの音は、3Gと比べると、自然で、聞きやすい感じ。
3Gの場合は、機械的な音の印象があります。(個人の感想です)
騒音の中だと、その違いは顕著にでてました。

VoLTEとの音を比較したよ

MP3プレイヤーからの音を、電話回線を経由してパソコンで録音してみました。
今回は以下の構成です。

  • PHS回線:京セラ WX12K → エイビット イエデンワ2
  • VoLTE回線:Pixel 4a(5G) (ソフトバンク回線) → iPhone SE2(ワイモバイル回線)
  • VoLTE(HD+)回線: iPhoneSE2(ドコモ回線) → Pixel 4a(5G) (ドコモ回線)

iPhone SE2自体はVoLTE(HD+) に対応していますが、ワイモバイル回線側がiPhoneのVoLTE(HD+)に対応していないので、
iPhone SE2 + ワイモバイル回線 によって、ノーマルVoLTE環境を作りました。

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今回の構成

比較用に、MP3プレイヤーとパソコンを直接繋いだものも録音してます。
(で、合計4パターン)

そのほか使用した機材は、以下の通り。

  • 録音機材:DELL ノートPC + Audacity
  • 音源:ソニー ICD-PX240(ソニー ICレコーダー 4GB 単4電池対応 ICD-PX240
  • ケーブル
    • エレコム AV-35AD02BK(通常の3極 ⇔ イヤホンマイクの4極に変換する)
    • アップル Lightning - 3.5mmヘッドフォンジャックアダプタ(iPhoneのLightning端子にイヤホンマイクを接続する)
    • 京セラ イヤホン変換ケーブル(WX12KのUSB端子にイヤホンマイクを接続する)
    • 自作のRJ-9 - 3.5mmオーディオケーブル変換ケーブル(イエデンワ2の受話器用端子から、パソコンに接続する)

音源としてMP3プレイヤーを使用して、3.5mmオーディオケーブルによってMP3プレイヤーと各種電話機を接続。
録音も、3.5mmオーディオケーブルを介して、パソコンと接続しました。
ちなみにイエデンワ2には、オーディオケーブルを接続する端子が無いので、受話器とつながる端子(RJ-9)に刺さるケーブルを自作しました。

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イエデンワ2用オーディオケーブル

では、実際に聞いてみましょう。

①ナレーション編

動画を公開しています。

ナレーションのみ
ナレーション+小鳥のさえずり
ナレーション+滝の音
ナレーション+街の音
の4つのケースで、各々4つの方法で録音したものを、順に再生します。
PHS (PHS回線を経由した音を録音したもの)
 ↓
VoLTE (VoLTE回線を経由した音を録音したもの)
 ↓
VoLTE(HD+) (VoLTE(HD+)回線を経由した音を以下略)
 ↓
音源(MP3プレイヤーの音をry)

PHSとVoLTEスマホの音質比較 ①ナレーション編 - ニコニコ動画

ヘッドフォン推奨です。(音量に気を付けてください)

今回も、音声データは以下のものを利用させていただきました。

以上終了。

なのですが、ここからも、「音」の知識ゼロな私による、個人の感想が並びますw

まずはナレーションのみで比較

静かな環境で会話したという想定です。

PHSは、ノイズが乗ってますね。イエデンワ2側の都合なのかな…。
(イエデンワ2以外同士で通話した時は、ノイズは気にならなかったのですけどね)
まぁこれしかデータが無いので、これを今回の基準としましょう。
(だってこの記事は、VoLTEはPHSと比べてどうなのか、なので…)

VoLTEは…
おぉ。違いがよく分かりますね。
ノイズが無いのと、PHSよりも高い音が出ているような感じがするので、PHSよりクリアな印象を受けます。
まぁ若干人工的な感じもしなくはないですが、3G(W-CDMA)と比べると格段の進化です。

VoLTE(HD+)は、よりクリアな印象がします。
人工的な感じや違和感は、ほとんど感じない気がします。

グラフも載せてみましょう。
上から、PHS・VoLTE・VoLTE(HD+)・音源で、それぞれ音の大きさと、周波数の分布を表現しています。

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PHS vs VoLTE

PHSで含んでいる音の周波数は、概ね4kHzまで。
4kHzまでの薄い青色の帯は、「サー」というノイズですね。
聴いても見ても分かります。

VoLTEはというと、PHSより高い8kHzまでの音が出ているのが分かります。
あと薄い青色の帯が無いので、ノイズが無いのも視覚的に分かりますね。

VoLTE(HD+)は、もっと高音が出ていますね。
どこまでの高い音が出ているか、周波数分布のグラフの上限を22kHzまで大きくして、見てみましょう。

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VoLTE(HD+)はどこまで高音が出ている?

上から3つ目がVoLTE(HD+)。ざっと、15kHzくらいまでは出てますね。
電話として、十分すごい。

静かな環境での通話は、
VoLTE、VoLTE(HD+)は、PHSと比べても、満足いくものになってるかなと思います。

ということで、騒音を足してみた

静かな環境では、なかなか好印象なVoLTEとVoLTE(HD+)。
今度は、3種類の騒音を足して、試してみました。

  • 小鳥のさえずり
  • 滝の音
  • 街の音

まずは、小鳥のさえずり

もう一度聞いてみましょうか。
 → PHSとVoLTEスマホの音質比較 ①ナレーション編 - ニコニコ動画 (途中から再生します)

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ナレーション+小鳥のさえずり

周波数のグラフでは、点が横に連なってますが、これが小鳥のピヨピヨですね。
綺麗に並んでますねー。

で、一番下の音源のグラフでは、1.4kHzまで薄い青色があるので、これは小鳥のさえずりを録音した時の、環境音でしょう。
その薄い青色に着目しましょう。

一番上のPHSでは、まぁノイズまみれですが、やや青みが強くなっているので、うっすらと環境音も入ってる感じがします。

で、上から2つ目のVoLTEと、上から3つ目のVoLTE(HD+)は、
最初はうっすら青く環境音が入ってますが、興味深いことに、3秒経つと減ってますね。

VoLTEは、3秒経つと環境音が完全に消えていて、
VoLTE(HD+)では、3秒経つとガクンと減って、その後ナレーション(人の声)が始まったころに、ほぼ消えています。

今回の実験時の様々な影響もあるでしょうから、常に同じ結果とは限らないでしょうが、「数秒経つと、環境音っぽいものは消える」という感じ。
VoLTEが行おうとしているデータの効率化が、なんとなく垣間見える気がします。

VoLTE、VoLTE(HD+)ともに、ノイズが無い分、聞きやすいですね。
声は、若干、人工的な雰囲気が出ている気はします。でも大きな違和感はないように思います。

滝の音を足してみた

足したら、こんな結果に。
 →PHSとVoLTEスマホの音質比較 ①ナレーション編 - ニコニコ動画 (途中から再生します)

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ナレーション+滝の音

PHSは、滝の音と言えば滝の音。波のような、水の流れる音が含まれている感じがします。
声が「ざわざわ」して聞こえるのは、4つ目の「音源」でもそう聞こえるので、録音側の問題なのかも。

VoLTE、VoLTE(HD+)は、再生から4秒程は滝の音が含まれていますが、その後スパッと消えますね。唐突に消える感じ。小鳥の時と、同じ傾向ですね。
その影響なのか、人の声が不自然なものになっている感じがします。音が詰まっているような、なんか圧迫した感じというか。
人工的な雰囲気が、より強くなった気がします。

滝の音が声にどの程度影響を与えているのか、「本日は」の部分を、滝の音の有無のグラフで比べてみましょう。

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VoLTE(HD+)による、「本日は」のみ(滝の音:無し)
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VoLTE(HD+)による、「本日は」+「滝の音」

かなり違いますね。人の声が欠けていることが、視覚的にも分かります。
滝の音を消したので人の声も一部が欠けてしまい、そのために不自然で人工的な感じのする声になった…ように思えます。

まぁホワイトノイズっぽい音を足したので、ちょっと特殊なケースなのかもしれませんが。

街の音を足してみた

足したら、こんな結果に。
 →PHSとVoLTEスマホの音質比較 ①ナレーション編 - ニコニコ動画 (途中から再生します)

PHSは、街の音が聞こえますね。
冒頭にメロディ聞こえますか?これ、横断歩道の誘導メロディです。
https://www.youtube.com/watch?v=DFEKQ1cRVKE故郷の空」というタイトルらしいです。
車やバイクが通りすぎる音も、聞こえます。
「いま外出中です」ということが、分かる感じですね。

VoLTEは、車やバイクが通り過ぎる音など、聞こえないですね。
雑音がほとんど無く、ところどころ機械的な音として聞こえる程度です。
屋外というよりも、室内の静かな部屋に居るという感じがします。
音声は、雑音が無い分クリアですが、人工的で不自然な印象です。

VoLTE(HD+)も、傾向はVoLTEと似ていますね。
まず雑音が無い。これも、室内の静かな部屋に居る感じがします。
ただ音声は、VoLTEと比べると、違和感は少ないです。

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ナレーション+街の音

音声部分の傾向としては、滝の時と似た感じがします。
ということで、冒頭部分を拡大して、いくつかのポイントに印をつけみました。

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冒頭部分の拡大

 黄緑色:バイクが通りすぎる音
 赤色:クラクション
 黄色:自転車のブレーキ音
 濃緑色:車が通りすぎる音

PHSでは、
黄緑色、赤色、濃緑色のところの、車やバイクが通りすぎる音も、聞こえます。
黄色のところでは、自転車のブレーキ音が4kHzよりも高いので、聞こえてこないですね。

VoLTEでは、
黄緑色のところは、一瞬メロディが聞こえるものの、バイクが通り過ぎる音というよりも機械的な音がします。
赤色は、クラクションがよく聞こえます。
黄色は、自転車のブレーキ音は聞こえません。
濃緑色は、変な機械的なノイズになってしまってます。

VoLTE(HD+)では、
黄緑色の箇所が無く、
赤色のクラクションも聞こえます。
黄色のところの自転車のブレーキ音は、若干含まれてるものの、変なノイズになってますね。
濃緑色のところは、意外にもほとんど含まれてない感じです。騒音としてうまく消せたのかな。

まとめると

VoLTE、VoLTE(HD+)の音声について、個人的感想をまとめると、静かな環境で話す人の声であれば、PHSよりもクリアに聞こえます。

ただ、「滝の音」「街の音」を聞くと分かると思いますが、騒音がある環境で話す人の声は、やはり機械的な感じがします。
「人の声+騒音」から、騒音を取り除いていることが影響して、
人の声の成分が失われているのではないかという印象です。

VoLTE、VoLTE(HD+)は、「人の声」だけを伝えることに特化しているような感じがします。
この傾向は、3Gの場合と同じですね。

ただ、3Gと比べると、すべての場合においてVoLTE、VoLTE(HD+)が「聞き取りやすい」と思います。

PHSの音に慣れた人にとってはやはり、機械的な声と騒音を削っていることに、場合によっては違和感を覚えることになるなぁ、といったところです。

次は、音楽を流した時を比べてみましょう。
tokieng.hatenablog.com

PHSの音と3Gの音を比べてみた③ なぜPHSは高音質?

本シリーズの3回目。
1回目・2回目をご覧になってない方は、こちらもどうぞ。
tokieng.hatenablog.com

1回目・2回目で、PHSは3G(W-CDMA)と比べて「音がよい」ということを感じていただけたと思います。
ではなぜ、PHSは、2G(PDC)や3G(W-CDMA)と比べても高音質なのか?

電波や音声信号処理に疎い素人が、ちょっとまとめてみました。

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PHSの音がよい理由は

端的に言うと、音声をデジタルにする方法が違うから。

音声をデジタルに変換する方法にいくつかあって、それをコーデックと言います。

2G(PDCフルレート) 2G(PDCハーフレート) 3G(W-CDMA) PHS
サービス開始 1993年 1995年 2001年 1995年
コーデック名 VSELP PSI-CELP AMR (またはAMR-NB) ADPCM 32kbps
ビットレート 6.7kbps
(誤り訂正含めると11.2kbps)
3.45kbps
(誤り訂正含めると5.6kbps)
4.75~12.2kbps 32kbps

ここで注目していただきたいのが「ビットレート」。
例えば

6.7kbps = 1秒間の音を表現するのに6.7kbit(≒0.8キロバイト(KB))のデータが必要

ということを意味します。

PHSがサービスを開始した1995年は、携帯電話は2Gの世代でしたので、2Gである「PDCフルレート」とビットレートを比較すると、
 PHS 32kbps vs PDCフルレート 6.7kbps
つまりPHSのほうが、PDCフルレートの約4.8倍のデータで、音を表現していたことになります。

データ量が多ければ、それだけ綺麗な音が表現できそうですよね。

なら携帯電話もデータ量増やせばよかったのに

増やせない事情がありました。
それは、携帯電話の電波に余裕がなかったから。

ドコモのPDCも、はじめはフルレートで提供していましたが、
当時はユーザーが爆発的に増えて通話量も爆発的に増えていき、
ついにはハーフレート(データ量半分)が導入されたくらいです。
参考文献
 ケータイWatch ケータイ用語

電波の利用状況に空きがありませんでした。

この状況を飛行機で例えると、

飛行機の座席に空きが無くなってきた。
飛べる飛行機の機体の大きさは変えなくて、
座席の広さを半分にして、2倍の人数を乗せられるようにした。
狭いけど、移動できるだけまし。

という感じでしょうか。

飛行機の場合は、満席で乗れないこともありますが、電話でそんなことあったら大変です。

話それますけど、大昔の固定電話も、キャンセル待ちみたいな状態があったんです。
スタジオジブリの映画「となりのトトロ」で、サツキちゃんがお父さんの職場に電話を掛けるとき。
電話局の人(電話交換手)に電話番号を口頭で伝えた後、一度電話を切るんですよね。
で、しばらくしたら電話交換手からサツキちゃんに電話がかかってきて、お父さんとつなげてくれる、というシーンがありました。
電話交換手はあの間、複数の電話局をまたいで電話回線をつなげていました。
途中の回線のどこかが全部使用中で埋まっていたら、その回線に空きができるまで待たされる(電話交換手からの電話がなかなかかかってこない)ことになります。
私やったことないですけど。

で、新しい通信方式である3G(W-CDMA)でも、最大で12.2kbpsまでとなりました。

では、なぜPHSでは32kbpsの音声通話が可能に?

端的に表現すると、
1つの基地局がカバーする半径が、PHSはすごく小さかったから
です。

携帯電話の場合、1つの基地局がカバーするのが半径3kmとか、そういう範囲。

PHSの場合は、それが500m程度でした。(後でもっと広くなりますが)

この2つを比較すると、
一つの基地局がカバーする範囲をセルと表現すると、

セルが広い(携帯電話)セルが狭い(PHS)
その中に居るユーザーは多い少ない
同時に発生する通話数は多い少ない
電波たくさんの通話を、限られた電波に乗せなきゃいけない電波には少しの通話を乗せるだけでよい
一人当たりのデータ量小さくする必要がある大きくできる

これが、PHSの特徴である、マイクロセルの考え方です。

マイクロセルの利点は、

  • 高速通信が可能
  • 基地局が近いので、弱い電波で通信可能
  • 電話機が出力する電波が弱くてすむので、バッテリー減らない
  • 弱い電波を扱うので、医療機器への影響も少ない(なので病院でよく使われますね)
  • 基地局が小さくて済むので、設置しやすい(携帯電話と比べて)

と、いいこといっぱい。

高速通信を活かして、
パソコンやPDA(電子手帳とスマホの間みたいな機器)のインターネット接続に使われたり、
iTunesよりも先に、映像や音楽のダウンロード販売(配信)などが行われたりもしました。

かと思いきや

マイクロセルにも欠点があります。

  • 基地局をたくさん作らないと、圏外が発生しやすい
  • 歩きながら通話するだけでも基地局が頻繁に変わってしまう

なのでPHSが登場した当初は、
「エリアが狭い」「すぐ圏外になる」「車に乗ってるときに切れやすい」など、不評でした。

これがPHSに対する「悪いイメージ」となりました。
PHSは子供の持ち物」という印象を持った人もいました。
惜しい。でも仕方ない。


でも技術者は頑張りました。

エリアが狭い&すぐ圏外になる
基地局を増やしました。
そして、それほど需要が多くない場所では、大きな出力の基地局を設置するようにしました。
電話機が出力する電波は弱いままなので、基地局が聞き耳を立てて、電話機からのかぼそい電波を拾うようにしました。
その結果、よっぽどでなければ圏外になることはない、というレベルにまで達したと思います。

歩きながら・車に乗ってると切れやすい
基地局と電話機を改良しました。
DDIポケットでは、「H"」シリーズ以降は「ツインウェーブ機能」によって、基地局の切り替え(ハンドオーバー)が高速に行えるようにしました。

その結果、2000年頃以降は、PHSの欠点らしい欠点は、目立たなくなりました(私の感想ですが)。


そして、2021年1月31日を迎えました。

そしてPHSの今後

実は、「PHS」はまだ一部残ります。

PHSのもう一つの表現として、
PHSは、家庭や会社にあるコードレス電話の子機を、外でも使えるようにしたもの」
があります。

「家にあるコードレス電話の子機。これを外に持っていってもそのまま使えるとうれしいよね」という感じ。
ここでPHS基地局は、みんなが使うコードレス電話の親機みたいなものです。

で、PHSには、2種類の通話があります。
PHS電話機を親機に登録して、親機を使って(親機の電話番号で)の通話(主に屋内)
PHS電話機に専用の電話番号を振って、みんなの親機(基地局)を使っての通話(主に屋外)

①のために、PHSの電話機を子機として使えるという、コードレス電話の親機もいくつか出ていました。
(ただ、その親機は高価だったのでたいして普及せず、今残っているPHS電話機も子機にならないものがほとんどです。)
企業や病院などで、内線としてPHSのシステムを導入するというケースもありました。これは自営PHSとか構内PHSとか呼ばれたりします。

②の通話を行うには、街中にPHS基地局を設置してサービスを行う、電話会社が必要です。
それが、かつては「DDIポケット」「NTTパーソナル」「アステル」の3グループでした。
DDIポケットは、のちにウィルコムになって、ワイモバイルへ。NTTパーソナルは、のちにNTTドコモに吸収されました。)
この電話会社を使うサービスを、PHSの公衆サービス、のような表現をします。
2021年1月末をもって、このサービスを行う電話会社が無くなりました。

ただ、①の通話は、親機がある限り(そして電波法で許可されている限り)使えます。
なのでPHSはまだ完全には無くなってない、ということですね。

公衆PHSサービスが終わったのちは、その電波(周波数帯域)の一部が、sXGPで使用されることになります。
 参考:sXGP方式の拡張提案について https://www.soumu.go.jp/main_content/000628397.pdf

sXGPは、PHSの利点を引き継いだ、新しい通信システムです。

PHSは、終わったけど終わってない!

PHSの音と3Gの音を比べてみた②

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はじめに

PHS(Personal Handy-phone System)という方式の携帯電話サービスが、令和3年(2021年)1月末に、終わろうとしています。
PHSのメリットは「高音質」「(当時としては)高速通信」「低消費電力」「低コスト」など、いろいろありました。
ここでは「高音質」に的を絞って、PHSを記録したいと思います

これ、前回の続きなんです

前回を見てない方は、まずこちらをご覧くださいませ。
tokieng.hatenablog.com

②楽器の音編

なんとなく、高い音と低い音だとどうなるか気になったので、試してみました。
オルゴールの音と、チェロの音。

動画はこちら。
↑ので動画が見れない場合は、こちらから↓
【音量調節版】PHSとケータイの音質比較 ②楽器の音編 - ニコニコ動画
ちなみに、ヘッドフォン推奨です♪(音量に気を付けて)


以上、終了。


なのですが、ここからも、「音」の知識ゼロな私による、個人の感想が並びますw

オルゴール

聞いてみた感想ですが、

  • 音源:高い音かなと思ったのですが、音は概ね4kHzまでに収まっていますね。
  • 3G:思ったよりも聞けます。でもオルゴールではない別の音のようで、「おもちゃのピアノ」を叩いてるみたい。例えて言うと「裏声を出して歌っている」ときのような、なんか「無理やり音を出してます」という雰囲気。でもメロディは分かります。途中なぜか、数字ボタンを押したかのように「ピッ」と鳴ってますが、数字ボタンは押していませんよ!送信側か受信側のどちらかで、ボタン押されたと認識したっぽいですね。
  • PHS:オルゴールの感じが、伝わります。すごい。聴ける。

グラフは、こんな感じ。

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オルゴール

3Gは、意外と2~4kHzの音でも欠けてるなぁ、という感じ。
PHSは、ノイズ多すぎwでも大抵の音は含まれてそう。

「ぼっちゃんいっしょに遊びましょ」の拡大を見てみると…

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オルゴールの最後の部分の拡大

3Gは、2~4kHzの音が少ないし、1kHz未満の音も一部欠けているっぽい。
そして音が伸びてないですね。
滝や街の音が消えるのと同じように、オルゴールの音が一部消えてる感じです。
だから「おもちゃのピアノ」っぽく聞こえるんでしょうね。

PHSは、1kHz未満の形も、音源にかなり近い。2kHz以上の音も、ノイズに埋もれながら含んでるようです。
音源とかなり近い音になってますね。

おぉPHSすげー!

チェロ

原曲は長いのですが、諸般の都合でちょっと端折ってます。
こちらも、感想としては

  • 音源:割とどっしりした感じ。
  • 3G:冒頭4秒ほどはましですが、それ以降は音がかなり失われています。元の曲とはだいぶ離れてる感じ。
  • PHS:結構元の音に近い印象。ちなみに送信側のマイクの音が大きいと、チェロの特定の箇所で通話が切断されてしまいます。イヤホンマイクのスイッチが押されたかのような挙動?

グラフ見てみましょ。

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チェロ
  • 音源:意外にも前半は4kHzを超える音が多いですが、全体的には4kHzに収まっていて、2kHzまでの音が音の多くを占めている感じ。
  • 3G:全体的に、音が消されてますね。4kHz制限があるので低い音なら得意かなと思ったら、ほとんど消されてる…。
  • PHS:再現度高し。音を多く含んでいる箇所は白く描画されますが、その白い部分も、音源とかなり近い傾向。音が波打ってる感じも、再現できてますね。

ということで、PHSすげー!

③音楽編

もうちょっと長い音楽で試したくなりました。

ということで、試した動画はこちら。
↑が聞けない方は、こちらから↓
【音量調整版】PHSとケータイの音質比較 ③音楽編 - ニコニコ動画

聞いたことある曲ですよね。
替え歌がCMソングで使われたりもしますが、元々はイタリアの「フニクリ・フニクラ」。「登山列車に乗って山登ろうぜ」という趣旨のCMソングだったそう。
「おにのパンツ」じゃないですw

3Gで聞くと、
「あぁ限界超えたな…」という感じ。最初の3秒間は「おっ♪」と思うのですが、すぐに音が詰まりだします。大太鼓を叩いてる感じ。これはこれで「音の特殊加工」としては面白い気がします。
PHSでは、
高音が出ないので華やかさはないが、「聴ける」という感じ。安いスピーカーでAMラジオを聴いてる感じに近い印象です。(AMラジオのほうがより高い音出せます。念のため)

視覚的に表すと、このグラフに。

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音楽(フニクリ・フニクラ)

ほぉ…。

なんとなく、冒頭5秒ほどを拡大したものも載せます。

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音楽(フニクリ・フニクラ)の冒頭部分

④歌と音楽編

次は、人の声の入った音楽で試してみました。
「電話」だし。

PHSとは言えども、1曲まるまる楽しく聴くことができるのか?」というのを試したかったのと、
平成7年にサービスを開始したPHSを、令和3年に看取る曲は、これしかないだろう」ということで、
この曲にしてみました。

↑が聞けない方は、こちらから↓
【音量調整版】PHSとケータイの音質比較 ④歌と音楽編 - ニコニコ動画

グラフはこちら。

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歌と音楽

冒頭部分を拡大すると、面白い!

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歌と音楽の冒頭部分

3Gは、
時々「プッ」とか、数字ボタン押したような音が聞こえますが、押してないですから!連打してないですから!
(やはり電話機の挙動で、特定の音があったら「数字ボタンが押された」とみなすのかもですね)
演奏は大部分が消えてますが、歌声は、かなり詰まった感じがしますが、歌詞が聞き取れるか聞き取れないかの微妙な感じで、まぁまぁ残ってますね。
ここまで人の声だけ残るのか。これはこれで、すごいなぁ。
やはり「音楽を楽しむ」には程遠い感じ。

PHSは、
「音楽がまぁまぁ楽しめる」「安心して聴ける」という感じ。
4kHzを超える音は入っていないので華やかさに欠けるものの、それ以外に違和感を覚えるような要素が無いなぁという印象です。

やはり、
3Gの音は「人の声を伝えることに特化している」、
PHSの音は「音を伝えることができる」、
という傾向が伺えますね。

まとめてみる

繰り返しになりますが、
3Gの音は「人の声を伝えることに特化している」、
PHSの音は「音を伝えることができる」、
ということ、感じていただけたでしょうか。

このPHSは、3G(W-CDMA)よりも前からサービスを提供していたものです。
すごい!

PHSは音がよい」ということは、
ワイモバイルによるPHSサービスの終了まで使い続ける愛好者が居る理由の一つだと思います(私がそうなので)。

そういえば

この特性を生かして、
DDIポケット(ワイモバイルの前身の1つ)が、「PHSの通話で音楽を伝える」ことを、あるサービスの一部として活用したことがありました。

DDIポケット、feel H"を利用した音楽配信サービス
Sound Market

Sound Marketは、音楽配信サービス(音楽データ販売サービス)です。

PHSの高速データ通信を活かしたものなのですが、それでも1曲をダウンロードするのに数分かかります。
これでは気軽に試聴ができません。
そこでPHSの高音質通話という特長を活かして、「試聴時は電話機が自動的にセンターに電話をかけて、そこが鳴らす音を受話器で聞く」という仕組みで、試聴機能を実現していました。
(操作性は悪かったですが、そのチャレンジ精神にワクワクしましたね)

最後に

次回は、なぜPHSは高音質なのかに、迫ってみます。
tokieng.hatenablog.com

PHSの音と3Gの音を比べてみた①

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はじめに

PHS(Personal Handy-phone System)という方式の携帯電話サービスが、令和3年(2021年)1月末に、終わろうとしています。
※「PHSは携帯電話とは別物」と語られることもありますが、PHSも携帯電話も「携帯できる電話」ということで、この記事ではひとくくりにします
※終了するのは公衆PHSサービスなだけで、自営PHSは引き続き使えるので、「PHSが終わる」ではなく「PHSの携帯電話サービスが終わる」と表現しています

PHSのメリットは「高音質」「(当時としては)高速通信」「低消費電力」「低コスト」など、いろいろありました。
ここでは「高音質」に的を絞って、PHSを記録したいと思います

PHSって

1995年にサービスを開始した、携帯電話サービスです。

おぉっと、26年前か…。

軽く当時の携帯電話事情を振り返ると、

  • スマートフォン(iPhone, Android)なんて影も形もない
  • i-mode, EZweb, J-Skyのようなインターネットサービスもまだ無い
  • メールサービスすらまだ無い
  • LTEFOMAcdmaOne方式での携帯電話サービスもまだ始まる前
  • ウサギの耳が11桁になるよりも前(参考:https://www.youtube.com/watch?v=PQEI-bfGz6g
  • NTTドコモが、1993年にデジタルムーバという愛称で、PDC方式によるサービスを開始したころ
  • ほかの各社も、PDC方式のサービスを提供開始したか、開始前くらい
  • PDC方式では、音声の伝送速度は11.2kbps(データ通信は9.6kbps)
  • 無線通信が大変混雑していたので、音声データを半減(5.6kbps)した「ハーフレート」も導入してた

という感じ。

ハーフレートなんて、人の声には遠すぎて、ほんとひどかったですね。
それだけ「外出中に電話したい」という需要が多くて、それを賄うだけの供給(無線通信の容量)が足りてない、という時代でした。

そしてPHSの「高音質」。PHSは音声データを32kbpsで伝送するので、当時のPDC方式と比べるとはるかに高音質でした。
なぜそんなことができたのかは、またいずれ…?

3Gとの音を比較したよ

そんなPHSの音質を他と比べてみました。
ただPHSとほぼ同期であるPDC方式は、2012年までに終了しているので、今回はPDCPHSとは比べることができず。
代わりに今回は、3G(W-CDMA)との比較を行いました。
ちなみにW-CDMAの登場は、2001年。PHSよりも6年後輩になります。

以下の構成で録音を行いました。

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録音の構成

MP3プレイヤーからの音を、電話回線を経由してパソコンで録音してみました。比較用に、MP3プレイヤーとパソコンを直接繋いだものも録音してます。

使用機材

iPhoneSE2、XPERIA XZ Premiumは、ともに4G&VoLTEに対応していますが、3Gで通話したいので、スマホ側でVoLTEを無効にした状態にしています。
ここでの3Gは、ソフトバンクの3G回線なので、つまりは W-CDMA ですね。

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3Gの機材(iPhoneSE2とXPERIA XZ Premium)
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PHSの機材(WX12K と イエデンワ2)
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変換ケーブル各種

それぞれの端末からは、3.5mmオーディオケーブルに変換するアダプターを使用しました。
USB⇔イヤホンマイクの変換ケーブルは、家電量販店とかでも入手できますが、マイク使用不可な製品もあるので、要注意です。
ちなみにイエデンワ2には、オーディオケーブルを接続する端子が無いので、受話器とつながる端子(RJ-9)に刺さるケーブルを自作しました。

①ナレーション編

動画を公開しています。

  • ナレーションのみ
  • ナレーション+小鳥のさえずり
  • ナレーション+滝の音
  • ナレーション+街の音

の4つのケースで、各々3つのパターンで録音したものを、順に再生します。
音源(MP3プレイヤーの音を録音したもの)
 ↓
3G(3G回線を経由した音を録音したもの)
 ↓
PHS(PHS回線を経由した音を以下略)

で、それぞれの「音の大きさ」と「周波数分布(どんな音が含まれているか)」が視覚的に捉えられるように、グラフを撮影しました。
 再生できなかったら、こちら↓
 【音量調整版】PHSとケータイの音質比較 ①ナレーション編 - ニコニコ動画

とりあえず、一通り聞いてみてくださいな。
ヘッドフォン推奨です。(音量に気を付けてください)

今回の音声データは、以下のものを利用させていただきました。

  • 効果音ラボ

soundeffect-lab.info

vsq.co.jp


以上終了。

なのですが、ここからは、「音」の知識ゼロな私による、個人の感想が並びますw

まずはナレーションのみで比較

動画を聞いたところ、
音源は、すごくはっきり聞こえて、丁寧に収録されたんだなぁと感じます。
3Gの音は、声がこもったような、詰まったような感じで聞こえます。そしてなんか機械的な、人工的な感じがします。でも何をしゃべっているかは分かります。
そしてPHSの音は、イエデンワ2の都合なのかノイズが乗ってるものの、3Gよりも自然な感じに聞こえます。

グラフを見てみますか。
全体としては、こんな感じ。

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ナレーションのみ

音の大きさに関しては、そんなに差がなさそう?
ということで、周波数分布見てみます。

「本日は」の部分の周波数分布が、こちら。

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ナレーションのみ(「本日は」の周波数分布)

音源は、8kHzを超えて、広い範囲の音が含まれています。

3Gは、だいたい4kHzより高い音がカットされてますね。
なぜ人工的な感じがするのかは、グラフからは私ちょっと掴めないなぁ。

そしてPHSも、だいたい4kHzより高い音がカットされています。
あと、全体的に青みがかかっているので、ノイズが乗ってるということも視覚的によく分かりますw
ちなみに、この画像の冒頭のノイズが少ない部分は、MP3プレイヤーで音を鳴らす前の状態です。

あと、なんとなく3Gのグラフでは、横に細長い赤い部分が、PHSと比べても若干太くて繊細さに欠けるような?

3GもPHSも、4kHzより高い音が失われていますが、これは私の環境の問題ではなく、各通信方式の仕様みたいです。
だいたい4kHzの音まで伝えることができれば、会話する人の声としてはOKっぽいらしい。

ちなみに固定電話のデジタル回線であるISDNでは、
 4kHzまでの音を伝える → サンプリング周波数8kHz
 データの細かさ→ 8bit
となっているそうです。つまり
 8bitのデータが8000個/秒 → 64kbps が必要
という計算になるので、ISDNの通信速度の基本が64kbpsだそうです。

ナレーション+小鳥のさえずり

ナレーションの音に、小鳥のさえずりを重ねたMP3データを作成して、試してみました。

(さっきと同じ動画ですが、途中から再生します)

3Gでも、小鳥のさえずりがよく聞こえます。が、人の声は、先ほどのに比べるとさらに音が詰まってるような、違和感があります。
PHSは、小鳥のさえずりも人の声も、高い音は出てないものの、割と自然に聞こえます。

全体のグラフは、こんな感じ。

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ナレーション+小鳥のさえずり

点が並んでいますが、これが小鳥のさえずりですね。
あと音源を見ると、0~1.5kHzの範囲に青い帯が見えます。屋外で収録したものなので、周辺の環境音ですね。
3Gでは、小鳥のさえずりはうまく再現できていますが、環境音はカットされてますね。
PHSでは、低周波の青みが濃くなっているので、環境音を含んでいることを表します。

で、「ありがとうございます」の部分を拡大しました。

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ナレーション+小鳥のさえずり(「ありがとうございます」の周波数分布)

違いが目立つ部分として、黄緑色で囲んだ箇所と、赤色で囲んだ箇所があるようです。
黄緑色は、ナレーションの音声の部分で、3Gは少し欠けている・薄くなっているように感じます。
赤色はさえずり部分で、3Gでは余韻の部分が欠けています。途切れた感じしましたよね。

ナレーション+滝の音

ナレーションの音に滝の音を重ねたMP3データを作成して、試してみました。

(これも、途中から再生します)

音源のものは、録音側PCの都合で、人の声にノイズが乗ってしまい、すごくザワザワした感じになってしまいました(MP3プレイヤーの音を直接聞くと、そんなことないんですけどねぇ)
うちのPC、ホワイトノイズのような音は、苦手なのかも。

3Gでは、滝の音が見事に消えています。冒頭2秒くらいは聞こえましたが、その後はノイズキャンセリングが働いたかのような、消え具合。その影響か、人の声は、こもった感じがします。
PHSは、相変わらずノイズ乗ってますが、滝の感じも聞こえてきます。人の声も、違和感なく聞ける気がします。

全体のグラフは、こんな感じ。

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ナレーション+滝の音

音源のグラフは、全体的に青色が広がってます。滝の音って、いろんな周波数の音を含んでいるのですね。
3Gは、差が歴然。最初の数秒間は滝の音っぽいものが聞こえますが、すぐにスーッと滝の音が消えてますね。そして、音がさらに詰まってる印象です。
PHSは、滝の音は伝えることができる感じですね。ノイズ乗りまくってるので、滝の音なのかノイズなのか、区別しづらいですがw

「本日は」の部分を拡大しました。

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ナレーション+滝の音(「本日は」の周波数分布)

さらに「ナレーションのみ」と比較してみましょうか。

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左:ナレーションのみ。右:ナレーション+滝の音

3Gは、人の声の成分が欠けているのが分かりますね。
一方のPHSでは、滝の音だけでなく、人の声も含まれているように見えます。

これが、「3Gだと人の声が聞き取りづらい」という現象のような気がします。
3Gでは、滝の音を消すついでに、人の声も一部消えているようです。周りが騒がしい状況では、3Gでは人の声が聞き取りづらいのだと思います。

ナレーション+街の音

これも、ナレーションに加えて、街の音を重ねてみました。
よくあるシチュエーションですよね。

(これまでと同じ動画で、途中から再生します)

音源:車が通りすぎる音、クラクション、自転車のブレーキ。横断歩道の誘導メロディが鳴ってるの、かすかに聞こえるかも。人の声の後ろにある車の音も、よく聞こえます。
3G:見事に街の音が消えています。代償として、人の声もこもっていますね。
PHS:街の音が伝わってきます。「いま外出中です」ということが分かる感じ。横断歩道の誘導メロディも、聞こえるかも。クラクションは、4kHzより高い音なのでかすかに含まれる程度。さすがに自転車のブレーキは、全く含まれてないですね。人の声も、違和感ない感じ。

全体のグラフはこんな感じ。

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ナレーション+街の音

冒頭の街の音だけを拡大すると、こんな感じ。

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ナレーション+街の音の、冒頭部分

 黄緑色:車の通りすぎる音
 赤色:クラクション
 黄色:自転車のブレーキ
3Gにはいずれも全く含まれていないですが、PHSには車の走行音が確認できますし、クラクションもかすかに入ってますね。自転車のブレーキは7kHz付近なので、さすがのPHSでも全く含まれず。

「本日は」の部分を比較してみましょう。

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左:ナレーションのみ。右:ナレーション+街の音

3Gは、「滝の音」ほどひどくはありませんが、やはり原型が失われてる感じがしますね。
特に黄色と赤色で囲んだところ。3Gでは、「ナレーションのみ」とだいぶ違いがあるなぁという印象です。

まとめると

3Gは、「人の声」だけを伝えようとして、それ以外の音を消そうとしている。
なので周囲がうるさい状況では、相手の声は聞き取りづらそう。

PHSは、周囲の音を含めて「音」を伝えようとしていて、少なくとも自然に聞こえる。

という感じがします。

あと、ほかにも動画がありますが、その解説は別記事にて。
tokieng.hatenablog.com