黒電話をスマホの子機(Bluetoothヘッドセット)に!⑥

前回までで、黒電話のダイヤルとフック操作をラズパイ(Raspberry Pi)が検出できるところまで出来た。
前回の最後に「アプリを作ろう」と書いてたけど、ベルの存在を忘れてた。

ということで今回は、ベルを鳴らそう!

過去記事は、こちらから。
tokieng.hatenablog.com

ベルの構造

一口に黒電話のベルと言っても、型番によって異なるっぽい。ここでは、今回の工作材料である600型に絞ってまとめることにする。

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黒電話(600-A2)のベル
黒電話のベル部分を見ていただくと、
左にある2つの丸いもの(本記事では鐘と呼ぶ)、2つの鐘の間にある棒(ハンマー)、右側にある茶色くて「E」という文字が見える部品が見える。
この右側の部品はコイル。小学校の理科の実験で、使ったことあるよね。
ということで黒電話のベルは、2つの鐘と、ハンマーと、コイルという3種類の部品で構成している。

各部品を簡単に説明すると、

2つの鐘:叩くと音が出る。微妙に大きさが違うので、それぞれから別の高さの音が出る。
コイル:電流を流すと電磁石になる。
ハンマー:左側の先端に球がついていて、逆の右側には磁石がついている。

コイルに電流を流して電磁石にすると、ハンマーについている磁石が引き寄せられて、ハンマーが動く。
ハンマーが動くと、ハンマー先端の球が鐘を叩く。

コイルに流す電流が一方向なら、コイルが作る磁界は一定方向なので、ハンマーは2つある鐘のどちらかを1回動くだけ。
これを、コイルに交流を流して電流の向きを変えてあげることによって、ハンマーは2つの鐘を交互に叩くようになる。
こうして鐘が鳴って、あのベル音を鳴らすことができる。

あぁ、だから電話線には交流16Hzが必要なのか・・・。

ベルを手で鳴らしてみる

ハンマーを手で動かしてみた。

ハンマーをゆっくり動かすと、ハンマー先端の球が鐘にあたらない。
その時の動画が、これ。
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で、ハンマーを勢いよく動かすと、球が鐘に当たって、音が鳴る。
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ハンマーの棒がしなることで、こうなるみたい。
こうすることで球は、鐘を一瞬たたくだけですぐ離れる。だからきれいな音が鳴る。
仮に球が鐘にくっついたままだと、たたいた鐘を指で押さえるようなものなので、ちゃんと鳴らないからね。

よく考えられてるなぁ~!

ハンマーを早く動かすと、(人によっては)懐かしい、黒電話のベル音を奏でる。
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ベルをどうやって鳴らす?

ということで、コイルには交流16Hzの電気を流す必要がある。
しかも48V。3.3Vとかの低い電圧では、ハンマーを動かすような磁力が作れないっぽい。
げげ。
ラズパイでどうやって・・・。

そこで、別の方法でハンマーをたたけないか、検討してみた。

作戦① コイルを変える?

コイルを、もっと低い電圧でもよいものに置き換えれないかな、と。
足りない頭で考えてみたけど、電磁石の知識をどこかに置き忘れたみたいで、断念・・・。

作戦② モーターの回転運動を往復運動に変換して?

電気で動力を得る部品といえば、モーター。モーターは、回転運動。
でも今回欲しいのは、ハンマーを動かす往復運動。
工作用部品とかで、回転運動→往復運動に変える部品はないかな?
たとえばタミヤとか・・・。

そうそう、こんなの!
楽しい工作シリーズ 手こぎボート工作セット | タミヤ

変換はどういう原理なのかな?と思ったら、別の方が分かりやすい動画を公開されてた。
DCモーターを使ったクランク&プーリー構造 - YouTube

黒電話への内蔵は、むーりー。

作戦③ 別のモーター

サーボモーターというものがあるらしい。モーターの回転角を制御できるというものらしい。
普通のモーターは一方向に回転し続ける(前進あるのみ)だが、サーボモーターは、回転できる角度の範囲内で、自由に角度を変えられる、というモーター。
詳しくはこちらの方の記事をご参照。
http://www.katch.ne.jp/~n-yotaka/sub%202.htm

つまり、例えばハンマーを真ん中に置いたときを90°として、70°~110°に動かせば、往復運動のようなものが簡単に作れそう!
これか!

・・・と思ったが、黒電話にどうくっつけようかと悩んで、この案はいったん保留。

作戦④ やっぱり元のコイルを使う

そうこうしていたら、どうやら9V乾電池でも鳴らせそうだという文献を見つけた。
セマクアサク: [実験]黒電話のベルを鳴らす

9V乾電池!その存在をすっかり忘れてた!
これなら比較的高い電圧をコンパクトに得られそう!

実験

元のコイルをそのまま使って、ハンマーを動かせるか実験してみた。

9V乾電池を2本直列につないで18Vを作り、これをコイルに流してハンマーが動くのか?

コイルは、本連載4回目でご紹介したサイト(黒電話三代)の回路図では B かな?ということは、コイルに繋がっている線はB1線とB2線っぽい。

B1線とB2線の間に、9V乾電池×2個を繋いでみた。

チン

やった!ハンマーが動いて、鐘を叩いたよ。
写真も動画も残してないけどw

残る課題は、交流っぽい電流

とりあえず9V乾電池2個でハンマーは動かせた。
でも、コイルに流す電流の向きを反転させないと、2つの鐘を鳴らし続けることはできない・・・。
ラズパイからどうやって・・・。

色々調べてみると、モータードライバというICが使えそうだということが分かった。

電子工作の世界で有名らしい、何かと話題の東芝製TA7291PというICを使ってみる。
このICは、ビデオデッキ用に開発されたものらしい。
(今となってはピンとこない人が多そうだが、ビデオ、分かりますよね!?)

カセットに収められているテープは、ビデオデッキ内のモーターで巻かれたり巻き戻されたりするが、
 巻き戻す = モーターを逆回転させる = モーターに流す電流を逆方向にする
ということなので、モーターに流す電流を制御する必要があるからなんだろうな、と推測。

TA7291Pの公式資料は、こちらから。
http://toshiba.semicon-storage.com/jp/product/linear/motordriver/detail.TA7291P.html
あらま「生産終了予定」ですって!
東芝って、電器屋で売ってる家電以外にも実は非常に広い分野の製品を作っていて、陰でいろんな分野の支えになってるから、日本国内になんとか落ち着いていただきたいなぁ。)

TA7291P、モータードライバについては、マルツさんのサイトが分かりやすい。
https://www.marutsu.co.jp/contents/shop/marutsu/mame/81.html

TA7291Pを簡単に説明すると、

  • モーター側にはOUT1とOUT2の端子があって、OUT1→OUT2の向き、もしくはOUT2→OUT1の向きに電流が流れる。
  • どっち向きに電流を流すかは、IN1とIN2の端子で制御できる。
  • 電圧に関する端子が3つあるが、それぞれざっくりと以下の意味。
    • Vsは、モーターに流す電源を供給するもの。
    • Vccは、ICの回路の電源を供給するもの。
    • Vrefは、Vsが出力する電圧に影響するもの。

つまり、IN1端子とIN2端子をラズパイから制御することで、電流の向きを変えられるということ!

IN1とIN2に与える信号を、1/32秒ごとに切り替えれば、16Hzのような電流が作れそうだ。
しかも、上の調査の結果、コイルに与える電流は厳密に交流でなくても、ハンマーは鐘を叩いたらすぐに鐘から離れてくれるし。

元のコイルのままで、なんとかなりそうな気がしてきた。

次回予告

そろそろアプリのプログラムが完成(公開)!?


ちなみに、本シリーズの記事一覧はこちらからどうぞ!
tokieng.hatenablog.com