テレビ24年間の進化③ アナログBS時代の、WOWOW録画との格闘

新4K8K衛星放送(新4K8K放送、新4K放送、スーパーハイビジョン放送、8K放送とも)が、いよいよ2018年12月に始まります。
それを記念して、私の手元にあるカタログの情報をベースに、24年間のテレビの進化についてまとめようとしています。

本シリーズの記事一覧は、こちらから。
tokieng.hatenablog.com

で、その3回目。

今回は、NECの「VA総合カタログ 1995 SUMMER」に小さく掲載されていた、この機能に着目します。

f:id:tokieng:20181104102818j:plain
NEC「VA総合カタログ 1995 SUMMER」より

その名も、「パラボーラセレクト端子」。

なんじゃこりゃ、意味わからん。

これがあると、WOWOWの録画が便利になるの?よく分からん…。

ということで、いろいろ考えてましたよ、という話です。


・・・え?興味ない?w

そもそも、当時のテレビの背面って

例えば、BSアナログチューナー内蔵の NEC の C-25BG1 というテレビの背面は、こんな様子でした。

f:id:tokieng:20181123181928j:plain:w1200
NEC「VA総合カタログ 1995 SUMMER」より

端子がいっぱいあります。
これを全部使った人は、果たして世の中にどれくらいいるんだろう?というくらいたくさんの端子が並んでますね。
今回の話題は、この左側。上から2~4段目の端子群です。

パラボーラセレクト端子=検波入力端子+ビットストリーム入力端子

で。NECのカタログの「パラボーラセレクト端子」とは、おそらくテレビ背面の「外部入力」の、「検波」と「ビットストリーム」のことでしょう。この記事では、「検波入力」「ビットストリーム入力」と呼ぶことにします。

f:id:tokieng:20181124165446j:plain
NEC「VA総合カタログ 1995 SUMMER」より
「BS内蔵VTR」が出力する検波信号とビットストリーム信号を受け取るので、テレビとしては「入力」ですね。

「検波」「ビットストリーム」?

WOWOWは有料放送なので、契約している人以外は視聴できません。そのため、放送にはスクランブル(暗号)がかかっていて、それを解除するためのデコーダ(以下WOWOWデコーダ)が必要になります。
検波信号とビットストリーム信号は、そのWOWOWデコーダが使用する信号なのです。
参考: WOWOWBSチューナー接続ガイド

WOWOWを視聴するまでの流れ

さて、ここからは私の汚い図で説明しましょう。
WOWOWデコーダとテレビは、以下のように接続します。

f:id:tokieng:20181124170726j:plain:h350
図1:WOWOWデコーダとテレビを繋ぐ

こう接続することで、テレビでBS-5chを選局するだけで、WOWOWデコーダを操作することなく、WOWOWを視聴することができます。

f:id:tokieng:20181124170809j:plain:h350
図2:テレビでWOWOWを視聴できる
テレビは、BSを受信すると、検波信号とビットストリーム信号を、WOWOWデコーダに出力します。
WOWOWデコーダは、その2つの信号を受け取って、スクランブルを解除した映像・音声を生成し、黄・白・赤の端子からビデオ・音声信号を出力します。
テレビは、WOWOWデコーダからのビデオ・音声信号を、専用の「スクランブルデコーダ入力端子」で受け取ります。
そしてテレビ側では、「BS-5chを受信したら、スクランブルがかかっている。なのでBSチューナーからの映像を表示するのではなく、スクランブルデコーダ入力端子からのビデオ・音声信号を表示しよう」というような処理をします。

これで、テレビで見れるようになりました。
でも、ビデオで録画もしたいですよね。

WOWOWを録画するための四苦八苦

ここでは話を簡単にするために、BS内蔵ビデオデッキを繋ぎましょう。

f:id:tokieng:20181124172215j:plain:h350
図3:BS内蔵ビデオを追加した
でもこう繋ぐと・・・
f:id:tokieng:20181124172255j:plain:h350
図4:テレビでWOWOWを視聴できるが…
テレビではWOWOWを視聴できますが、
f:id:tokieng:20181124172419j:plain:h400
図5:ビデオでWOWOWの録画ができない
ビデオでWOWOWの録画ができませんね。星取表では、「×」で表現している箇所です。

なので、こう繋いでみましょう。

f:id:tokieng:20181124172643j:plain:h400
図6:WOWOWデコーダをビデオデッキに接続する
すると、
f:id:tokieng:20181124173144j:plain:h400
図7:WOWOWを録画できるようになったが…
BS-5chを選局してWOWOWを録画できるようになりました。
録画予約もバッチリ!

テレビはWOWOWデコーダとは直接繋がっていませんが、ビデオを経由することでWOWOWを視聴できるケースがあります。

f:id:tokieng:20181124173403j:plain:h400
図8:WOWOWを録画できるだけでなく、一応視聴もできる
このときは、テレビはBS-5chを選局するのではなく、「ビデオ1」とかに入力を切り替えることになります。
ちょっと直感的ではないですね。

さらに、テレビでのWOWOWの視聴に、制限が加わります。

f:id:tokieng:20181124173617j:plain:h400
図9:他チャンネルの録画中は、テレビでWOWOWが視聴できない
星取表のテレビの視聴パターンに、「×」の箇所が出てきてしました。
NHK-BSの番組を録画中に、WOWOWが視聴できない」
という問題が発生します。
(ちなみに「」は、「ビデオ1に切り替えれば視聴できる」という意味です)


惜しい。


なんとかして、星取表を全部「○」に、パーフェクトにしたいものです。

ここで登場!検波入力&ビットストリーム入力!

技術者は頑張りました。
「検波入力」と「ビットストリーム入力」を用意してくれたのです。

これを使って、以下のように接続します。赤く強調したのが、今回のポイントとなる箇所です。

f:id:tokieng:20181124174522j:plain:h450
図10:究極の接続方法
ついでに、WOWOWデコーダにはビデオ・音声出力が2系統あるので、それぞれテレビとビデオに繋いでおきます。

テレビにWOWOWデコーダを接続するので、テレビの視聴に関する制限はありませんね。

そしてビデオでWOWOWを録画するときに、「検波入力」と「ビットストリーム入力」は威力を発揮します。
ジャジャン!

f:id:tokieng:20181124175824j:plain:h450
図11:2つの入力端子の威力
なんと、ビデオでWOWOWを録画するときは、ビデオ内蔵のBSチューナーからの検波信号とビットストリーム信号が、テレビを経由してWOWOWデコーダへ届くのです!

素晴らしい!

星取表、パーフェクトです。

カタログに戻ってみる

説明すると長文になってしまうこの便利機能を、NECはコンパクトに下のように…。

f:id:tokieng:20181104102818j:plain
NEC「VA総合カタログ 1995 SUMMER」より

うん。分からん!(苦笑)

でも、手元にあるカタログでは、NECの説明が最も詳細なのです。

他のメーカーは・・・

日立:
f:id:tokieng:20181125082809j:plain:w300
日立「カラーテレビ総合カタログ '95-04」より
三菱:
f:id:tokieng:20181125082649j:plain:w300
三菱「三菱カラーテレビ総合カタログ 1995年11月作成」より
三洋:
「Wデコーダ端子」「ビットストリーム入力端子と検波入力端子を装備し、WOWOWのBSデコーダをBSビデオと共有できます。」(三洋「カラーテレビ総合カタログ '95-冬」より)

もっと分からん!

まぁ、あまり詳しく書いても分かってもらえないだろうし、ということで、各社このような扱いなのでしょうね、

ちなみに

検波入力とビットストリーム入力ですが、録画に関する機能なので、テレビというよりはビデオ側に欲しいな、と思いませんか?

そうなんです。
テレビに付けていたのは、私がカタログで確認できた範囲では、上記3メーカーのみでした。

対して、この時期のビデオには、たいていこの端子が付いていたのです。

メーカー名 機能名
NEC パラボーラセレクト端子
日立 ダブルデコーダー端子
三菱 Wデコーダ端子
東芝 Wデコーダ端子
三洋 Wデコーダ
ソニー Wデコーダー端子
ビクター Wデコーダ端子
シャープ Wデコーダ端子
パナソニック BSフリーデコーダ

機能名の主流は「Wデコーダ(端子)」ですね。
でもこれだと「デコーダが2台接続できる」と読んでしまいそうですが、はたして、理解できる人がどれくらいいたんでしょうね?
カタログ上の説明も、ほんの1~2文程度で、図も無し。
各社、説明に苦労していたんだろうなぁと邪推してしまいます。

そんな中、図を使って何とかして伝えようとしているNEC。さすが、通信屋さんだなぁ!(褒めてる)

今のWOWOW録画は

今は BSデジタルチューナーにスクランブルを解除する機能が備わっているのと、B-CASカード があるので、機器の接続は簡単になりました。
当時のような「WOWOWデコーダー」とかいう装置は不要ですね。

契約情報が書き込まれているB-CASカードを、レコーダーに挿入すると録画ができます。
このとき、ちょうど上の図7と図8にようになります。

ですので、このままではテレビで直接視聴できません。B-CASカードをテレビに差し替える必要があります。

あれま、パーフェクトではない!

これなら、BSアナログの時代が、まだ便利だったかも(笑)

最後に

当時の家電製品やカタログには、こんな「?」がいっぱいです。
当時の私も、カタログや取扱説明書を読んでも理解できない機能だらけでした。
今も、各メーカーがいろんな試行錯誤を繰り返しながら技術が進化していったおかげで、当時よりもはるかに使いやすい製品が作られているんだなー、と感じる、今日この頃です。

さて、次回はそろそろ時代を進めていこうと思います。

本シリーズの記事一覧は、こちらから。
tokieng.hatenablog.com