エンジニアらしき人のひとりごと

100人中100人は興味を示さなくても、100万人居たら1人くらいは面白いと思ってくれそうな、重箱の隅をほじくってみるブログ。

電卓の奥深い世界 ~②各メーカーの違い~

こんにちは。
この記事をご覧になるということは、さては電卓にご興味がおありですよね?

これは電卓の第2話ですので、もしご興味がある方は、第1話もどうぞ!
tokieng.hatenablog.com

スマホの電卓アプリを作っていていたら「あれ?こういうときにこの操作をしたら、どう動くんだろう?」と悩み始め、
手元のリアル電卓で試していたら「あれ?メーカーごとに挙動が違う?」と驚き始め、
気が付いたら目の前には電卓の山が!

…なんてこと、みなさんご経験ありますよね。

調査のために買った電卓の山
調査のために買った電卓の山


さてここでクイズです。
5 ÷ =
と押したとき、どんな計算をするか分かりますか?

実は、メーカーによって結果が違うんですよ~💡


ということで電卓のメーカーごとの挙動の違いを調べたので、せっかくなのでまとめてみました。

なお、ここでの対象は、

の5社とします。

他にも、AURORA、ナカバヤシオーム電機(OHM)などなどありますけどね…。


メーカーごとの主な相違点といえば…

よく知られている点としては、

  • ボタン配置の違い
    • クリアボタン(AC, CA, C)の位置
    • 0ボタンの位置
  • 操作の違い
    • 定数計算の手順
    • 逆数計算の有無

あたりが、挙げられます。

ボタン配置の違いは、同じメーカーでも機種で異なっているし、私の興味をひかないので、この記事からは除外しますが(笑)

ということで、操作の違いをまとめてみましょう❗

定数(「じょうすう」と読むらしい)計算の手順の違い

電卓のメーカーの違いを最も感じる(※個人差あります)のが、この機能です。
今どきの電卓には、どのメーカーであれ、まず付いています。

多くの人は、たぶん知らないですよね?でも便利なんです。


どんなときに便利な機能かというと、

  • 「牛肉全品30%引き」というセールを見かけて、牛肉と豚肉のどちらを買うかを悩んでいるとき
  • ランチを食べに入った飲食店のメニューを見て、「税抜き価格が表記されているけど税込みだといくらになるだろう?」と財布の中身を気にするとき
  • 逆に、税込み価格から税抜き価格を計算したいとき
  • 服を着たまま体重計に乗って、「服の重さ」相当として1.5kgを引いた値を体重だと主張するとき
  • ドラえもんの道具「バイバイン」をふりかけた栗饅頭1個が、宇宙を埋め尽くすのにどれくらいの時間が必要なのか、気になるとき

に、とても便利なんです。


つまり、「定数計算」とは、「似たような計算を楽に行える機能」ですね。

 30%引き → ×0.7 を繰り返し行う(30%引きということは、元の値段の70%ですよね)
 税抜き価格を税込み価格に → ×1.1 を繰り返し行う(本記事執筆時の消費税は10%です)
 税込み価格を税抜き価格に → ÷1.1 を繰り返し行う
 1.5kgを引く → -1.5 を繰り返し行う
 バイバインをかけた栗饅頭は、5分ごとに2個に分裂する → ×2 を繰り返し行う


かといって、電卓を見ても、それっぽい機能を示すボタンは無いですよね。
実は、ある手順で計算をすると定数計算ができるのです。

で、その手順というのは、電卓メーカー5社を調査しても、2種類しかありませんでした💡


それは、
「カシオ」か、「カシオ以外」か。


カシオが孤軍奮闘しているのか、
カシオ以外が束になっても、カシオにはかなわないというのか…。

まるで、
「カレーライスには、豚肉か、牛肉か」
「コロッケには、ソースか、醤油か」
「風呂で体を洗う順番は、頭からか、腕からか」
Linuxのエディタは、viか、Emacsか」
のような、二者択一感。

カレーライスに鶏肉を使うことも、何もかけずにコロッケを食べることもあるけれど、電卓の定数計算に関しては、この二択のみなんです。
不思議ですね。


では、それぞれの手順を見てみましょう。

カシオの電卓の場合

カシオの電卓だと、こう操作します。
 ×1.1 → 1 . 1 × ×
すると、液晶に「K」が表示されます。この「K」があったら、定数計算モードです。

あとは、数字と=を押すだけで、勝手に税込み価格の計算をしてくれます。
 5 0 0 と入力すると 550 が、
 1 9 8 0 と入力すると 2178 が、
 2 6 5 0 と入力すると 2915 が、得られます。

割り算も同様に、
 ÷1.1 → 1 . 1 ÷ ÷
と入力して定数計算モードにすると、
 5 5 0 と入力すると500 が、
 2 1 7 8 と入力すると 1980 が、
 2 9 1 5 と入力すると 2650 が得られます。

つまり、「A×B」の「×B」、「A÷B」の「÷B」を、覚えてくれるのです。

便利ですね。

そもそも、定数計算モードの表示は、なんで「K」なんでしょうね?
「定数」のドイツ語が「Konstant」だからじゃないのか、と言われたりもしてますが。

カシオさん教えて💖

カシオ以外の電卓の場合

定数計算モード、という状態はありません。まず、
 1 . 1 × 5 0 0 と入力すると 、550 が得られます。

それは普通ですね。

そのあとで、
 1 9 8 0 と入力すると 2178 が、
 2 6 5 0 と入力すると 2915 が、得られます。


つまり、最初に計算した式の一部を、勝手に覚えてくれるのです。
「A×B=」のような掛け算だと、「A×」を覚えてくれます。


じゃ割り算はというと、
まず
 5 5 0 ÷ 1 . 1 と入力して、500 を得ます。
次に、
 2 1 7 8 と入力すると 1980 が、
 2 9 1 5 と入力すると 2650 が得られます。

つまり「A÷B=」と入力することで、「÷B」を覚えてくれます。

便利ですね。


むむ⁉️

よく見ると、掛け算と割り算とで、覚えるものが違う!👀


そうなんです。四則演算を全部列挙すると、

  • 「A+B=」 は、「+B」を覚える
  • 「A-B=」 は、「-B」を覚える
  • 「A×B=」 は、「A×」を覚える
  • 「A÷B=」 は、「÷B」を覚える

となります。

掛け算だけ違うんですね。なんででしょう?
…私もわからないですw

シャープさん、キャノンさん、シチズンさん、教えて💖

「数字」「四則演算キー」「=」

数字を入力して、+-×÷のボタンを押した後で、=ボタンを押すと、何らかの計算をしてくれるときがあるのです。

何言ってるのかわからないですよね。
一覧表にしてみましょうか。
5メーカーの一覧表ですよ。

入力 カシオ カシオ以外
5 + = 5 5
5 - = 5 -5 (正負を反転)
5 × = 25 (5×5を計算) 25 (5×5を計算)
5 ÷ = 1 (たぶん5÷5を計算) 0.2 (逆数にする)

またしても、カシオ vs カシオ以外連合軍。
なぜだろう。


簡単な操作で、マイナスにできる、逆数にできる、というのが連合軍の便利なところですね。
たとえば、
「大人12人、子供25人の集団が居ます。大人の割合は何パーセントですか」といった計算問題を解くときに、
  12 + 25 ÷ =
と入力して分母を計算した後で、
 × 12 × 100 =
を入力して、めでたく 32.4% を得る、みたいな。

カシオでも、
 12 + 25 =
と総数を計算した後で、
 ÷ ÷ と押して定数計算モードにして、
 12 × 100 =
と入力することで、同じ結果を得られます。

割り増し計算・割り引き計算

定数計算の例として、「30%引き」を「×0.7」で計算しました。
暗算で「1-0.3」という計算をしたのですが、実はもっと簡単な方法があります。

電卓をよく見ると%ボタンがありますよね。これを使うのです。

でも%ボタンって、いまいち使い方が分からないですよね。


そうなんです。
+-×÷=は使い方が明確なのに、%は、掴み所がないような。
そんなボタンだからこそ、メーカーによる違いがあるんです💡


5社の操作手順を、一覧表にしてみましょう。
30%増し、30%引きの計算を例に、見てみます。

計算内容 カシオ カシオ以外
割り増し 5 0 × 3 0 % + 5 0 + 3 0 %
割り引き 5 0 × 3 0 % - 5 0 - 3 0 %


お見事。
またもや カシオ vs 連合軍。


カシオの場合は、%ボタンを押した時点で、「50の30%」である「15」が表示されます。
そのときにボタンを押すと割り増し、-ボタンを押すと割り引きの結果を表示してくれます。

それぞれの個性や主張を感じますよねー。

カシオの電卓で、連合軍の割り増し・割り引き計算の操作を行うと?

どうなると思います?
知らない人は、下の表を見て頭抱えてくださいね。

入力 カシオの場合
5 0 + 3 0 % 71.4285714285
5 0 - 3 0 % 66.6666666666


え?何?
この割りきれない感情。

バグってるのか?仕様にないおかしな操作をしたのか?
と思っちゃいますよね?
何か見つけたんじゃないかと、思わずニンマリしますよね?

でもこれ、ちゃんとした仕様に沿った結果なのです💡
(取り扱い説明書に、ちゃんと書いてあるんです)


「A+B%」→ A円で仕入れたものを売るが、利益率をB%にしたい。売値をいくらにしたらよいか。売価計算とかいうらしい。

「A-B%」→ Aは、Bの何パーセント増しなのか。

という計算を行うのです。


イメージ湧かないですよね。


売価計算は、自分でお店でも開いていないと使わない…なんてこと、ありませんよ。
たとえば
「もう着なくなった洋服👕を、フリマアプリで売ろうかな」
なんていうときに、使えます。

  • フリマアプリの手数料は、10%
  • 手元には、送料込みで1800円残って欲しい💰

というときに、
じゃいくらで出品したらよいでしょう❓

これ、立派な売価計算ですよね💡


カシオの電卓なら、簡単に計算できます。

1800+10%

で、2000 と出てきます💡

しかも、この時に-ボタンを押すと、利益の額が得られます。
まぁこのときの利益額は、フリマサイト側の収入ですけどね。

手数料は10%だから…と、
1800 × 1.1 = 1980
と計算するのは、誤りなんです。
だって、
手数料が198円になるので、手元に残るのは1782円になってしまいます。

それにしてもこんなマニアックな機能、今知ったとしても、使わないからすぐ忘れてしまって、使いたいときに思い出せないですけどねw
しかもカシオ以外の電卓で同じ操作をしたら、「売価計算」ではなく「割り増し計算」になるという…。

カシオ以外の電卓で、カシオの手順での割り増し・割り引き計算の操作を行うと?

カシオ以外の電卓で、
50×30%
ここまで入力すると、液晶に
 15
と表示されます。
このときに
+= と入力すると割り増し計算を、
逆に
-= と入力すると割り引き計算を、してくれます。


=ボタンを押すのがカシオと違う点ですが、
まぁだいたい同じ操作で計算できるんですね。

「パーセント」の意味からすると、掛け算で割り増し・割り引き計算してくれるのは直感的な気がしますし、全メーカーがそのように計算できるのも納得です。

ということで

各メーカーの電卓の違いを、見てきました。
これは、「知っている人は知っている」違いですね。

で驚くことに、上記の機能の挙動は、完全に

 カシオ vs 連合軍

という構図なんです。

連合軍に属するメーカー(というかカシオ以外)は、

  • 定数計算の手順

のみならず、

  • 定数計算において掛け算だけ違うこと
  • 正負反転や逆数の計算機能
  • %ボタンの使い方
  • ×ボタンで割り増し・割り引き計算するときに、=ボタンを押す必要があること

までもが、一緒なんです✨

しかも、AURORAやナカバヤシやOHMの電卓も、私が100円ショップで買った電卓も、ちゃんと(?)連合軍の挙動なんですよね。

ビックリ‼️


ここまで一緒だと、「外装が違うだけで、実は中身は同じものじゃないの❓」と思いたくなりますよねー。

でも、よくよく調べてみると、各社微妙に違うんです😃

それが、この連載の第1話に繋がります。
tokieng.hatenablog.com

各メーカーで微妙に違いましたよね?


では次回は、そんな「微妙な違い」に焦点を当ててみたいと思います🎵



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