エンジニアらしき人のひとりごと

100人中100人は興味を示さなくても、100万人居たら1人くらいは面白いと思ってくれそうな、重箱の隅をほじくってみるブログ。

テレビ24年間の進化①

2018年12月1日。ついに新4K8K衛星放送が始まる。
世界初の8K放送が始まる!何かのイベントで見たけど、8Kの映像はすごい!
そうそう、シャープが先日、8Kチューナー内蔵のテレビを発表したっけ。

https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1146983.html

80型が200万円、70型が100万円、60型が75万円前後。
100万円を大きく切った!思ってたよりも安い!という印象。私には買えないけどw

そういえば…と、本棚に手を伸ばす。

1995年2月のシャープのテレビ製品のカタログ。
このころは、アナログハイビジョンが「実用化試験放送」として放送されていた頃だ。

36型が100万円。

おぉ!
今の8Kテレビのほうが、大型で、しかも安い!
なんだか、8Kテレビは個人でも買えるものかもしれない、と思うようになってきた(でも買えない)。

そして、さらに別のカタログに手を伸ばす。

1994年9月のソニーのテレビ製品のカタログ。

…私の「なかなか他人に理解してもらえない趣味」の一つに、家電のカタログ集めというのがあって、手元にある最も古いテレビのカタログが、ソニーのだった。

古いカタログをパラパラめくると、すごい。すごく古い(笑)
24年間でテレビはこんなに変わったのか!と。

新4K8K衛星放送開始を記念して、膨れ上がった古いカタログを見直して、そろそろテレビの変化をまとめたくなった!

・・・
ということで、これから何回かにわたって、私の手元にあるカタログの情報をベースに、24年間のテレビの進化についてまとめる予定です。
私の手元に当時の全てのカタログが揃っているわけではないので、特に物事の順番や時期は完璧ではないかもしれませんし、漏れもあるかもしれません。ご了承くださいませ。

目指せ「8K本放送前の完結」!

第1回・1994年~1995年前半のテレビ事情~ワイドテレビ普及期のはじまり~

このころは、ワイドテレビ(16:9)と、ワイドじゃないテレビ(4:3)の両方が販売されてて、いよいよワイドテレビが本格的に普及するかな?といった時期だった気がします。

で、1994年~1995年前半いくつかのメーカーのテレビカタログを並べてみました。
手元にあるカタログは、以下のメーカー。(基本的に発行日順。ほかは順不同)

  • ソニー (1994/09)
  • パナソニック (1995/01)
  • ビクター (1995/01)
  • サンヨー (1995/01)
  • シャープ (1995/02)
  • 東芝 (1995/04)
  • 日立 (1995/04)
  • NEC (1995/06)
  • アイワ (1994/12)
  • カシオ (1995/08)
  • 三菱 (1995/11) ※1995年後半のだけど、手元にそれしかなかったので…

発行時期がバラバラなのは、ご愛敬ということで。

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なお本記事には、引用を目的として、カタログを撮影した画像を掲載しております。事前に各社に画像の使用の可否を問い合わせた上で、引用しております。各社の著作権などを侵害しないために一部モザイク加工しております。
メーカー様へ
当方からの不躾なお願いにもかかわらず、お忙しい中ご返答いただきましてありがとうございました。大変感謝しております。

小さくて見えずらいですが、表紙にテレビが掲載されています。今のテレビとは全く形が異なりますよね。

当時のテレビ放送まとめ

まずはテレビ放送の当時の状況から振り返りましょう。
1994~1995年を簡単にまとめると、以下の4種類の放送がありました。

  • 地上波放送(アナログ)
    ごく普通の地上波アナログ。みんな見ていました。NTSC方式。
  • BS放送(アナログ)
    1995年は本放送開始から7年経ったころで、この時放送していたのは、NHK BS1NHK BS2、それと有料のWOWOWのみでした。つまりチャンネルは3つで、地上波の民放系列局はまだ無かったということです(St.GIGAという衛星ラジオ放送局もありました)。
    BSチューナー非搭載のテレビ向けに、単体のBSチューナーがありましたね。
  • CS放送(アナログ)
    1992年に始まったばかりの新しい放送。
    CS放送サービスとして、「SkyPortTV」と「CS BAAN(バーン)」がありました。チャンネル数は、SkyPortTVは6つ、CS BAANは5つ。いまのデジタルCSとははるかに少ないですね。
    これを受信するには、各サービスに対応したチューナーとCSアンテナが必要で、さらに受信契約が必要でした。一般家庭で見ていたお金持ち人は、どれくらい居ただろう…?
  • ハイビジョン実用化試験放送(アナログ)
    当時はMUSEという方式で、アナログハイビジョンの放送を行っていました。
    1991年~1994年はNHKのみで「試験放送」でしたが、1994年11月からは1つのチャンネルで時間を区切って、NHKと民放各局による「実用化試験放送」がスタートしました。
    これを見るには、ハイビジョン対応(MUSEデコーダ内蔵)のテレビか、MUSE-NTSCコンバータが必要でした。

ハイビジョンも含めて、全部アナログで、そして映像のアスペクト比(縦横比)は、ほとんどが4:3でした。ハイビジョン放送は例外で、16:9でした。
4:3である地上波放送で16:9のコンテンツ(映画)を放送する場合は、(大昔は横方向を無理やり押し潰して何もかもが細長くなるような映像だったこともありましたが)この頃は、映像の左右をカットして4:3にすることが多く、たまに映像の上下に黒帯をつけて4:3にすることも行われていました。

この時代のテレビの特徴

そしてテレビ本体。
まずは、テレビの映像表示部分(以下、表示デバイス)が、今(2018年)とは大きく違います。
今は液晶テレビとか有機ELテレビですが、このときの主流は「ブラウン管」!
ブラウン管だけでなく、「プロジェクション」「液晶」もあって、3種類。
それぞれの特徴を主観的に(笑)まとめてみました。

ブラウン管

当時の各メーカーの主力がブラウン管。もちろん、いろんな家庭の中を見てもブラウン管だけでした。
他の表示デバイスと比べた特徴は、「そこそこ大きい」「重い」「厚い」。

そこそこ大きい画面サイズ

まず16:9のテレビだと、16~36型。メインは28型か32型くらいかな?
もう少し時代が進むと、36型が増えていきます。
16:9のテレビを「ワイドテレビ」と各社呼んでいました。
f:id:tokieng:20181103201902j:plain東芝カラーテレビ総合カタログ'95-4(P9-10)より

f:id:tokieng:20181103201007j:plain日立カラーテレビ総合カタログ'95-4(P3-4)より

そして4:3のテレビは、
6型~大きくても37型くらいでした。個人的には、29型が手頃な大画面かなという印象です。
「リビングには大画面の29型」「寝室や子供部屋には14型」「車には6型」という感じでした。
住宅環境の変化もあって、現在では29型は、「大画面」とは呼べないサイズになっていますね。
いくつか例を挙げると、

37型:f:id:tokieng:20181104121711j:plain三菱「三菱カラーテレビ総合カタログ 1995年11月作成」(P17-18)より
29型など:f:id:tokieng:20181103201945j:plain東芝「カラーテレビ総合カタログ'95-4」(P15-16)より
21~14型:f:id:tokieng:20181103201139j:plain日立「カラーテレビ総合カタログ '95-04」(P14-15)より

重い

なぜ重いかというと、やはりブラウン管がガラスでできているからでしょう。ガラスの重さです。
どのくらい重いかというと、
4:3テレビは、

  • 37型 81.5kg 三菱 37C-DX2
  • 34型 81.3kg ソニー KV-34ST90S
  • 29型 41.3kg 東芝 29S17
  • 21型 21.2kg パナソニック TH-21Z1
  • 14型  9.2kg 三洋 C-14D6
  • 10型 5.9kg ソニー KV-10DS1

21型テレビでも、一人では持ち歩きづらい重さ。34型とか37型となると、もはやどうやって運ぶの?というレベル。

16:9テレビは

  • 36型 78.3kg 東芝 36W10
  • 32型 51.0kg 三菱 32W-JF1
  • 28型 36.5kg NEC C-28Z3
  • 24型 26.8kg ビクター AV-24V4
  • 20型 20.0kg シャープ 20C-WA5

回路も重量がそこそこあるはずですが、サイズが大きいほどすごく重くなるので、ブラウン管の割合が大きいのでしょう。
2018年の液晶32型テレビが6kgとか7kgとかの重量なので、技術の進歩は凄まじい・・・。

厚い

奥行きがあります。すごく。
例えば、
日立の32型(C32-WE50)で、56cm。
パナソニックの29型(TH-29GF20)で、45cm。
他も似たり寄ったりなので、ばっさり省きますが、だいたい35~60cmはありました。
ブラウン管サイズが大きくなるほど厚くなりますが、小型の14型でも 37.0cm(東芝 14R8)でした。
奥行きがあるため、よほど空間に余裕がなければ、ブラウン管テレビは部屋の角に置くのが一般的でした。

f:id:tokieng:20181103200607j:plain三菱「三菱カラーテレビ総合カタログ 1995年11月作成」(P7)より

そういえば、当時のカラオケボックスでは、テレビはたいてい部屋の隅だった気がします。

プロジェクション

ブラウン管だと大きくても37型とか36型なので、それ以上の大画面をどうするか?という当時の解法が「プロジェクションテレビ」でした。「リアプロジェクションテレビ」とも言いました。
これは構造が変わっていて、プロジェクターとスクリーンが一つの箱に入っているようなものでした。テレビの下部にあるプロジェクターからの光を正面のスクリーンに投影する、という仕組みです。
この当時も家庭用プロジェクターはありましたが、明るい映像を出せないので、部屋を暗くする必要がありました。しかも取付も大変。
なのでプロジェクションテレビは、プロジェクターとスクリーンを一つの箱に入れることで、普通の(ブラウン管)テレビと同じように気軽に扱えるようにした、というイメージです。
役所とかの公共施設や、研修施設とかで見たことあるという人もいるかも。

f:id:tokieng:20181104121726j:plain三菱「三菱カラーテレビ総合カタログ 1995年11月作成」(P19)より

f:id:tokieng:20181103201043j:plain日立「カラーテレビ総合カタログ '95-04」(P9)より

液晶

2018年では主流の液晶も、当時はまだ出始めのころでした。

現在の液晶と比べると「小さい!」の一言。3型か4型がほとんどでした。
なので部屋に置くというよりも、「車載用にいかが?」「持ち歩きできますよ!」とカタログでアピールしていました。
f:id:tokieng:20181103175540j:plainソニートリニトロンカラーテレビ/モニター総合カタログ '94.9」(P18)より

この当時カシオも液晶テレビを作っていました。というより、小型液晶テレビといえばカシオ、という印象でした(個人的印象)。車載用の3~4型だけでなく、持ち歩き用に1.6~4型など、多くの個性的な機種を展開していました。

f:id:tokieng:20181103202104j:plain
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カシオ「液晶カラーテレビ総合カタログ 95/8」より

3型というと、今のスマホよりもはるかに小さいのですが、テレビを持ち歩ける・いつでもテレビが見れるというのは、当時としては画期的でした。
カシオ+液晶で、思い出すものありませんか?そう、世界初の液晶付きデジカメ QV-10です(「液晶表示部が無いけどデジタル記録するカメラ」はその前からありましたけどね)。小型液晶テレビ+レンズーTVチューナ=QV-10。今振り返ってみると、カシオが世界初のデジカメを作ったというのはすごく自然な流れに感じます。

で、一つだけ、9.5型という当時としては大画面の液晶テレビを出していたメーカーがあります。それは意外にも、NEC
NEC LC-10W1。

f:id:tokieng:20181103203158j:plainNEC「VA総合カタログ 1995 SUMMER」(P7)より

価格は29万8千円!ひえー!
この機種は1994年秋頃に発売されているので、この時点ではもう少し値下がりしているかもしれませんが。でもそういう値段だったのですね。
9.5型というサイズなので、「壁に掛ける」「机に置く」など、これまで不可能だった場所にテレビが設置できるようになりました。
NECは今では企業向けというイメージが強くて、家庭向けにはパソコンかWiFiルータか蛍光灯くらいしかありませんが、当時は「日本電気ホームエレクトロニクス」という会社が家庭用向け電気製品を各種販売していました。
NECの液晶製品は、今でもパソコン用や各種用途に特化した液晶ディスプレイ「MultiSync」がありますね。

入力端子

アンテナ端子を除くと、以下の端子がありました。

  • ビデオ端子(黄)
  • 音声端子(白、赤)
  • S端子
  • 一部機種には、RGB端子も。

ビデオの黄色と、音声の白と赤の3色は、今でもよく見かけます。別名RCA端子とか。
RGB端子は、当時は「マルチメディア」という言葉が流行っていたころで、パソコンやいろんな機器が接続できる、と謳っていた機種も、若干ありました。
現在は、入力端子といえばHDMI全盛期で、S端子も無くなって、ビデオ入力すらないテレビもありますね…。

NECのカタログにはテレビ背面の入出力端子の写真も掲載されていましたので、それを見てみましょう。
BSチューナー非搭載でステレオでもないモノラルテレビ C-14R39 は、
f:id:tokieng:20181103203314j:plainNEC「VA総合カタログ 1995 SUMMER」(P11)より

これだけ。ザ・シンプル!
モノラルテレビなので、音声信号は1本のみでよいことから、黄+白のみになっています。

そしてBSチューナー非搭載なステレオテレビ NEC C-28S3は、
f:id:tokieng:20181103203109j:plainNEC「VA総合カタログ 1995 SUMMER」(P5)より

S端子もあるし、入力も2系統ありますね。

BSチューナーが搭載されると、途端に複雑になります。例えば NEC C-24VW3 は、
f:id:tokieng:20181103203110j:plainNEC「VA総合カタログ 1995 SUMMER」(P5)より

うん、端子がいっぱいですね。
ちなみに、右上の「BS出力」は、BSチューナー非搭載のビデオデッキでBS番組を録画するためのものです。今でこそBSチューナー内蔵レコーダーなんて「当たり前」ですが、当時はチューナーが高かったのです。テレビに内蔵しているチューナーを、ビデオでも使いまわしていたのです。
そして右下の「BSデコーダー」にある「ビットストリーム出力」「検波出力」は、WOWOWデコーダーに接続するための端子です。WOWOWは有料放送なので、契約している人だけが視聴できるようにスクランブル(暗号)をかけているので、スクランブルを解除する(暗号を解く)ためにデコーダーという機器が必要でした。そのデコーダーが復元した元の映像をテレビが受け取るために、「BSデコーダー入力」という枠の中に黄・白・赤のビデオ入力端子が存在します。分かりにくいですよねー。
ちょっと興味沸いたので、次の次の回あたりで「BSデコーダー」についてまとめることにしましょう。

当時の特色

各メーカーの訴求点としては、「高機能」「高画質」「高音質」。それは今も昔も変わらず、ですね。
地上アナログ放送は、現在のデジタルハイビジョンと比べると高画質ではないのですが、アナログだからこそ、ブラウン管だからこその方法で、各社は様々な方法で改良を行っていました。

各社のブランド名

まずは、テレビに付けられたブランドを振り返ってみましょう。カタログからいくつか抜粋すると、以下が挙げられます。

東芝BAZOOKA、WIDE BAZOOKA。「バズーカ」と読みます。
日立Nextage。「ネクステージ」と読みます。
ソニーKIRARA BASSOキララバッソ
パナソニックヨコヅナ、画王
4:3テレビには「画王」。
16:9テレビは、一時期「ワイド画王」と称していましたが、ヨコヅナに。1995年1月のカタログには、両方載っています。
三洋帝王、WIDE帝王
ビクターPANORAMA、マガジン
NECParabola
BSチューナ内蔵ビデオや単体BSチューナーも「Parabola」と名乗っていましたので、BS機器全般のブランド名のようですね。パラボラアンテナを連想させる名前に。
シャープニュースビジョン

並べてみると、
 高画質、高音質を印象付ける名称、
 ワイド画面であることを強調する名称、
 特長的な機能をアピールする名称、
とに分かれるような感じがしてきますね。

ブラウン管のアピール

いくつかのメーカーは、ブラウン管にも名前を付けて、独自性をアピールしていました。デバイスの特徴が製品の特徴になる、というアピールですね。
特に有名なのが、ソニーの「トリニトロン」でした。

  • ソニー
    「HDトリニトロン」「スーパートリニトロン管」
    カタログの表紙から、「Trinitron」を強調しています。
    f:id:tokieng:20181104150021j:plain:h500ソニートリニトロンカラーテレビ/モニター総合カタログ '94.9」(表紙)より。
    f:id:tokieng:20181104150750j:plain:w500ソニートリニトロンカラーテレビ/モニター総合カタログ '94.9」(P2~3)より。

    「画質で選ぶなら、テレビは”トリニトロン”」(ソニートリニトロンカラーテレビ/モニター総合カタログ '94.9」(P2~3)より)

    絶対的な自信、誇り、信頼、というのを感じます。

  • 東芝
    「スーパーブライトロン管」
    見開き2ページで、「色も歴史も塗り替える。23年ぶりに、次世代ブラウン管誕生。あざやかな輝き、世界初、『スーパーブライトロン管』。」(東芝「カラーテレビ総合カタログ'95-4」(P3-4)より)
    f:id:tokieng:20181103201728j:plain:w1000

    細かな技術的アピールが、しっかりと記載されています。意気込み、熱意、自信作!という感じが伝わってくるようです。

  • 日立
    「ワイドキドマトロンブラウン管」
    f:id:tokieng:20181104122618j:plain日立「カラーテレビ総合カタログ '95-11」(P3-4)より
    f:id:tokieng:20181104122643j:plain日立「カラーテレビ総合カタログ '95-11」(P5-6)より

    電子銃を写真付きでアピールしているのは、面白いですね。ブラウン管ならではです。
    「日立ブラウン管伝統のハイコントラスト&ハイフォーカス性能に加え、さらに明るさをアップ」(日立「カラーテレビ総合カタログ '95-11」(P5-6)より)
    説明はスペースも小さくて地味ですが、伝統をアピールしているところに、安心感が伝わってきます。

    「スーパーネオブラックワイドブラウン管」という名称もありました。時期的に、一つ前の世代かも?(日立「カラーテレビ総合カタログ '95-04」(P5-6)より)
    f:id:tokieng:20181103201019j:plain
    「ダークティントガラスで黒をくっきり再現。」(日立「カラーテレビ総合カタログ '95-04」(P5-6)より)とあり、黒が特長のようですね。

  • 三菱
    「純ブラックブラウン管」「リアルブラックブラウン管」
    名称くらいしか記載がなく、詳細なアピールは無いですね。
    ですが「黒」がクッキリと表現できそうだな、というイメージがストレートに伝わってきます。
    「純」と「リアル」の違いがよく分からないですけどね。

  • ビクター
    「ハイビジョン・フラットブラウン管」「スーパーフラットフェイスブラウン管」
    f:id:tokieng:20181103201535j:plainビクター「カラーテレビ総合カタログ '95-1」(P14)より
    f:id:tokieng:20181103201617j:plainビクター「カラーテレビ総合カタログ '95-1」(P16)より

    こちらも説明スペースが小さいですが、特徴がまとまっています。
    ハイビジョンブラウン管の「コーティング材料の帯電防止効果により、ブラウン管表面へのホコリの付着も防止します」(ビクター「カラーテレビ総合カタログ '95-1」(P14)より)という説明が、なんだか懐かしいですね。ブラウン管の表面には静電気がよく溜まっていたなぁ、と思い出します。
    ブラウン管のコーティングを強調している印象です。

  • パナソニック
    この時期はブラウン管の特徴をストレートに表現した名前でした。
    「NEWスーパーフラットハイビジョンブラウン管」「NEWスーパーフラットワイドブラウン管」「スーパースリムブラウン管」

  • 三洋
    「NEWダークティントワイドブラウン管」(三洋「カラーテレビ総合カタログ '95-冬」P3-4より)。

  • シャープ
    スーパーフラット4原色ブラウン管」(シャープ「カラーテレビ総合カタログ1995年2月現在」P14より)
    4原色!?
    「赤、緑、青+黒を忠実に再現」(シャープ「カラーテレビ総合カタログ1995年2月現在」裏表紙より)とあります。詳細な説明がないので推測ですが、黒をより再現できるということを表現しているような印象です。

    「シャープ」「4原色」といえば、2010年の液晶テレビAQUOSクアトロン」が思い出されます。クアトロンは、赤、緑、青、黄の4色ですね。
    シャープの「4原色」の歴史は、意外と長い!

「ブラック」を強調しているブラウン管が多いですね。液晶テレビも、有機ELテレビも、黒をどうやって表現するかをアピールしていますが、ブラウン管のころからなのですね。

あと、いくつかのブラウン管で「フラット」と謳っているものがありますが、このころの「フラット」は「依然と比べたらフラットになった」ということで、今の液晶テレビのようなフラットさではありませんでした。フラットブラウン管は、1997年まで待つことになります。

さて

そろそろ、だいぶ長くなってきました。今回はこの辺で。

次回は、その当時の「機能」や、変わった機種を、振り返りたいなと思います。



ちなみに

家電のカタログは、「製品の売り」「今」「これから」が端的にわかる、素晴らしい読み物です。
話題の製品をよく知るために。家電製品を買う時の比較検討材に。今の家電製品にはどのような魅力があるのかを知るために。漠然と「古くなってきたな」と思っているけど今買い替えるべきなのか、を判断するために。など、いろんな思いで読んでいます。
カタログを見て、思いつきもしなかった、かゆいところに手の届く製品に気づくこともあります。そのメーカーのファンになることもあります。そして、他人におススメを相談された時の、調べものにも使います。

製品情報は、各社Webサイトでも簡単に入手できますし、もちろん私もWebも使います。
しかし「比較する」「俯瞰する」となるとやはり、紙媒体であるカタログに勝るものはないと思っています。製品の数だけディスプレイを用意するわけにもいきませんが、カタログなら、並べるだけで比較できます。最近のWebは「レスポンシブデザイン」の影響か、パソコンやタブレットであっても「俯瞰」という点では不便さを感じます(スマホだとちょうど良いんですけどね)。
そして、最新式の製品を買うこともあれば、型落ちの製品を買うこともあるわけでして。型落ち製品の購入を検討するときにその製品の情報を得たいので、型落ちのカタログをあらかじめ持っておきたい、というのが「カタログを集める」という動機だったりします。

そうこうして24年も情報収集してきました。そして気づいたことがあります。
最新のカタログを見ると「最近の進化」は分かります。でも特にテレビは、そう簡単には買い替えないものです。今のテレビを買ってからの10年、15年分の進化は、10年、15年分のカタログを見ないと分からないな、と。
24年分の進化をそろそろ俯瞰して見てみたいな、と思い、記事を書き始めました。
現代のテレビまで書き続けられるかどうか、うまく伝えられる文章が書けるのかかなり不安ですが(笑)、お付き合いいただけますと幸いです。

新4K8K衛星放送、新4K8K放送、4K放送とかいろいろ呼ばれていますが、いずれにせよ、もう間もなく開始ですね。