はじめに
PHS(Personal Handy-phone System)という方式の携帯電話サービスが、令和3年(2021年)1月末に、終わろうとしています。
PHSのメリットは「高音質」「(当時としては)高速通信」「低消費電力」「低コスト」など、いろいろありました。
ここでは「高音質」に的を絞って、PHSを記録したいと思います。
これ、前回の続きなんです
前回を見てない方は、まずこちらをご覧くださいませ。
tokieng.hatenablog.com
②楽器の音編
なんとなく、高い音と低い音だとどうなるか気になったので、試してみました。
オルゴールの音と、チェロの音。
動画はこちら。
↑ので動画が見れない場合は、こちらから↓
【音量調節版】PHSとケータイの音質比較 ②楽器の音編 - ニコニコ動画
ちなみに、ヘッドフォン推奨です♪(音量に気を付けて)
以上、終了。
なのですが、ここからも、「音」の知識ゼロな私による、個人の感想が並びますw
オルゴール
聞いてみた感想ですが、
- 音源:高い音かなと思ったのですが、音は概ね4kHzまでに収まっていますね。
- 3G:思ったよりも聞けます。でもオルゴールではない別の音のようで、「おもちゃのピアノ」を叩いてるみたい。例えて言うと「裏声を出して歌っている」ときのような、なんか「無理やり音を出してます」という雰囲気。でもメロディは分かります。途中なぜか、数字ボタンを押したかのように「ピッ」と鳴ってますが、数字ボタンは押していませんよ!送信側か受信側のどちらかで、ボタン押されたと認識したっぽいですね。
- PHS:オルゴールの感じが、伝わります。すごい。聴ける。
グラフは、こんな感じ。
3Gは、意外と2~4kHzの音でも欠けてるなぁ、という感じ。
PHSは、ノイズ多すぎwでも大抵の音は含まれてそう。
「ぼっちゃんいっしょに遊びましょ」の拡大を見てみると…
3Gは、2~4kHzの音が少ないし、1kHz未満の音も一部欠けているっぽい。
そして音が伸びてないですね。
滝や街の音が消えるのと同じように、オルゴールの音が一部消えてる感じです。
だから「おもちゃのピアノ」っぽく聞こえるんでしょうね。
PHSは、1kHz未満の形も、音源にかなり近い。2kHz以上の音も、ノイズに埋もれながら含んでるようです。
音源とかなり近い音になってますね。
おぉPHSすげー!
チェロ
原曲は長いのですが、諸般の都合でちょっと端折ってます。
こちらも、感想としては
- 音源:割とどっしりした感じ。
- 3G:冒頭4秒ほどはましですが、それ以降は音がかなり失われています。元の曲とはだいぶ離れてる感じ。
- PHS:結構元の音に近い印象。ちなみに送信側のマイクの音が大きいと、チェロの特定の箇所で通話が切断されてしまいます。イヤホンマイクのスイッチが押されたかのような挙動?
グラフ見てみましょ。
- 音源:意外にも前半は4kHzを超える音が多いですが、全体的には4kHzに収まっていて、2kHzまでの音が音の多くを占めている感じ。
- 3G:全体的に、音が消されてますね。4kHz制限があるので低い音なら得意かなと思ったら、ほとんど消されてる…。
- PHS:再現度高し。音を多く含んでいる箇所は白く描画されますが、その白い部分も、音源とかなり近い傾向。音が波打ってる感じも、再現できてますね。
ということで、PHSすげー!
③音楽編
もうちょっと長い音楽で試したくなりました。
ということで、試した動画はこちら。
↑が聞けない方は、こちらから↓
【音量調整版】PHSとケータイの音質比較 ③音楽編 - ニコニコ動画
聞いたことある曲ですよね。
替え歌がCMソングで使われたりもしますが、元々はイタリアの「フニクリ・フニクラ」。「登山列車に乗って山登ろうぜ」という趣旨のCMソングだったそう。
「おにのパンツ」じゃないですw
3Gで聞くと、
「あぁ限界超えたな…」という感じ。最初の3秒間は「おっ♪」と思うのですが、すぐに音が詰まりだします。大太鼓を叩いてる感じ。これはこれで「音の特殊加工」としては面白い気がします。
PHSでは、
高音が出ないので華やかさはないが、「聴ける」という感じ。安いスピーカーでAMラジオを聴いてる感じに近い印象です。(AMラジオのほうがより高い音出せます。念のため)
視覚的に表すと、このグラフに。
ほぉ…。
なんとなく、冒頭5秒ほどを拡大したものも載せます。
④歌と音楽編
次は、人の声の入った音楽で試してみました。
「電話」だし。
「PHSとは言えども、1曲まるまる楽しく聴くことができるのか?」というのを試したかったのと、
「平成7年にサービスを開始したPHSを、令和3年に看取る曲は、これしかないだろう」ということで、
この曲にしてみました。
↑が聞けない方は、こちらから↓
【音量調整版】PHSとケータイの音質比較 ④歌と音楽編 - ニコニコ動画
グラフはこちら。
冒頭部分を拡大すると、面白い!
3Gは、
時々「プッ」とか、数字ボタン押したような音が聞こえますが、押してないですから!連打してないですから!
(やはり電話機の挙動で、特定の音があったら「数字ボタンが押された」とみなすのかもですね)
演奏は大部分が消えてますが、歌声は、かなり詰まった感じがしますが、歌詞が聞き取れるか聞き取れないかの微妙な感じで、まぁまぁ残ってますね。
ここまで人の声だけ残るのか。これはこれで、すごいなぁ。
やはり「音楽を楽しむ」には程遠い感じ。
PHSは、
「音楽がまぁまぁ楽しめる」「安心して聴ける」という感じ。
4kHzを超える音は入っていないので華やかさに欠けるものの、それ以外に違和感を覚えるような要素が無いなぁという印象です。
やはり、
3Gの音は「人の声を伝えることに特化している」、
PHSの音は「音を伝えることができる」、
という傾向が伺えますね。
まとめてみる
繰り返しになりますが、
3Gの音は「人の声を伝えることに特化している」、
PHSの音は「音を伝えることができる」、
ということ、感じていただけたでしょうか。
このPHSは、3G(W-CDMA)よりも前からサービスを提供していたものです。
すごい!
「PHSは音がよい」ということは、
ワイモバイルによるPHSサービスの終了まで使い続ける愛好者が居る理由の一つだと思います(私がそうなので)。
そういえば
この特性を生かして、
DDIポケット(ワイモバイルの前身の1つ)が、「PHSの通話で音楽を伝える」ことを、あるサービスの一部として活用したことがありました。
DDIポケット、feel H"を利用した音楽配信サービス
「Sound Market」
Sound Marketは、音楽配信サービス(音楽データ販売サービス)です。
PHSの高速データ通信を活かしたものなのですが、それでも1曲をダウンロードするのに数分かかります。
これでは気軽に試聴ができません。
そこでPHSの高音質通話という特長を活かして、「試聴時は電話機が自動的にセンターに電話をかけて、そこが鳴らす音を受話器で聞く」という仕組みで、試聴機能を実現していました。
(操作性は悪かったですが、そのチャレンジ精神にワクワクしましたね)
おまけ
最後に
次回は、なぜPHSは高音質なのかに、迫ってみます。
tokieng.hatenablog.com